6月~8月上旬に入場者を増やせていたら経済波及効果は2.7兆円を超えていた可能性

 次はデータから見えた課題についてみていきます。

 公共投資・付加価値誘発額・消費額の合計は、開幕前の去年1月の試算では来場数2820万の場合2.7兆円とされていました(アジア太平洋研究所調べ)。アジア太平洋研究所の稲田義久氏に閉幕後に改めて取材すると、「来場者数は目標数に届かなかったが、最終的に同じぐらいになりそう」だということです。これは、1人あたりの消費額が増えたためで、人数が目標通りであれば、経済波及効果はさらに大きかったと言えるわけです。
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 愛・地球博と大阪・関西万博の来場数が同じ人数だったと仮定した場合の一般来場者数の推移、増減率を表したデータ(出所:万博協会発表資料及び愛・地球博閉幕データ集より アジア太平洋研究所作成)を分析すると、6月~8月上旬の期間は大阪・関西万博の方が愛・地球博を下回っています。愛・地球博を1つの基準とするなら、もう少し人数を増やせたのかもしれません。