実業団入り後、多くのレースで驚きの走りを見せてきた小林

だが翌月(24年11月)のクイーンズ駅伝は振るわなかった。プリンセス駅伝と同じ3区に起用され、3人を抜いてチームを13位まで引き上げたが、区間順位は11位で、区間賞の五島莉乃(27、資生堂)には1分28秒もの差を付けられた。10日前の練習中に転倒した影響で、本番までに一度だけポイント練習(チーム内の選考)をして出場した。膝は2針半縫う裂傷で、抜糸もできていない状態だった。

しかし1週間後(12月1日)の防府マラソンでは2時間24分59秒で優勝した。マラソン用の練習は行わず、「大阪に向けて練習の40km走の1本目」(河野匡監督)と位置づけて出場した。5km毎を17分10秒前後で中間点を1時間12分13秒で通過した。前半は想定通りだったが、後半も1時間12分46秒とイーブンペースで走り切り、想定を大幅に上回るタイムでフィニッシュした。

その結果で大阪国際女子マラソンに向けての練習を、日本代表を意識したレベルで行うことを河野監督は決断した。米国アルバカーキで30km変化走など、かなり高いレベルで行うことができた。さらに、帰国して1月12日に出場した全国都道府県対抗女子駅伝9区(10km)を、32分27秒の区間5位で走った。本調子でなかったとはいえ、五島や田中希実(26、New Balance)といった日本代表経験選手を、マラソン練習を行っている最中の小林が上回ったのだ。