初めて前半からハイペースに挑戦した昨年のプリンセス駅伝
小林にとって実業団入り後のレースは、今に至るまで初めての経験の連続だった。
入社当初はポイント練習(週に2~3回行う強度の高い練習)の設定タイムを聞くだけで、尻込みしていた。しかし9月の全日本実業団陸上10000mでは32分22秒98で7位(日本人3位)。翌10月のプリンセス駅伝3区(10.7km)で34分18秒の区間2位。10人を抜いてチームを2位に浮上させ、大塚製薬の6位通過に貢献した。
河野匡監督はレース前日まで、「最初からハイペースで入る小林はイメージできない」と話していた。駅伝では多少のオーバーペース覚悟で前を追う走りも求められるが、市民ランナーとして走っていた小林にはその経験がなかった。
しかしプリンセス駅伝の小林は最初の1kmを3分05秒で入った。トップ選手たちと肩を並べて走った全日本実業団陸上でも、最初の1000mは3分15秒である。過去に経験したことがないレース展開に、どうしてチャレンジできたのだろうか。