2年後の運行目指す「無人走行」
『T2』が目指すのは、運転手なしの完全自動運転「レベル4」の実現だ。
『T2』熊部雅友 代表取締役CEO:
「高速道路を無人状態の自動運転トラックが走っている未来は、“実現性が高い”と思っている」
「2027年のレベル4実用化」に向け『三菱地所』と検証を進めているのが、衛星からの情報が届きにくい倉庫などの「建物内」でトラックが自分の位置を正確に把握する技術。

今後、高速道路のインターチェンジに直結した「物流施設」を作り、その建物内の荷捌き場までトラックが無人で走行することを目指すためだ。
『三菱地所』基幹物流事業推進室 桂木悠斗 室長:
「建物内走行ができるようになると、倉庫から倉庫まで物を運ぶことに関して自動運転トラックを通じて人を介さずに行うことができるようになる」
さらに『三井倉庫ロジスティクス』とは、複数の荷主の貨物を積み合わせる「混載輸送」の実証実験も行っていて、業務用冷蔵庫からシャンプーや芳香剤など、形も重さも違う貨物を組み合わせて運んでいる。

またこの実証実験では、物流拠点に届いた貨物を保管せず、すぐに仕分けて次の輸送に回すことを行っている。これは、自動運転トラックの稼働率と積載率を最大限に高める狙いだ。

『三井倉庫ロジスティクス』営業本部 松葉泰剛 営業推進部長:
「自動運転トラックをより効果的に使うには、やはり絶え間なく走らせ続けることが最もポイントだと思っている」
『T2』が目指す「2つの役割」
「建物内の自動走行」や「混載輸送」の商用への転換を、「2027年以降を目指しているレベル4の運行と連動し実現したい」と話す『T2』の熊部CEO。
将来的には、トラックの保有台数を2000台に、エリアも全国に広げる計画だ。

▼27年10月~:運転手の乗車を必要としない「レベル4」自動運転(東京‐神戸間)
▼29年中旬~:事業エリア拡大(中国・四国・九州)
――数年後には何十台もの自動運転トラックが高速道路を行き来しているということが現実に?

『T2』熊部雅友 代表取締役CEO:
「現実的になると思っている。ただ、トラックドライバー不足、トラック不足という物流の課題を解決するには、我々の自動運転トラックを導入してもその一部しか担うことができない。その一部を何とか支えたいと考えているが、これだけではなく他の物流の取り組み、多くの課題があると思うのでそれも取り組まなくてはいけない話だと思う」
――T2は、どんな会社になりたい?
熊部CEO:
「我々が掲げているのは“日本の物流を共に支える”こと。何を提供するかというと、一つは【我々自身が運送を行う】、あるいは我々の自動運転トラックを使ってもらう。また自動運転トラックを走らせるのに必要な仕組み・遠隔監視・保険・リース・整備など【周辺のサービスをまとめて提案・提供】する。トラック自体は他社のトラックでも構わない。こういった形で物流のソリューションを提案・提供することで、“日本の物流を共に支える”ことを実現したい」

『T2』は、▼自らが自動運転トラックを運行する「運送会社」としての役割と▼自動運転に必要なシステムや周辺サービスを提供する「ソリューション業者」の役割の両方を担うことを目指している。
――物流がないとやはり経済は回らない?
熊部CEO:
「物流が要だと思っているし、なくてはならないもの。今これが運べなくなる、届かなくなるかもしれないと言われている。そういうことがあってはいけないと思うので、我々が全て変えられるわけではないが、その一部を担って“解決策を提案したい”と考えている」