誰が総理に?「3つのシナリオ」 第4の可能性“総総分離”も?

小川彩佳キャスター:
公明党の連立離脱で激震が走っていますが、政権交代の可能性も出てきているという中で、3つのシナリオについて星さんに伺っていきます。

シナリオ1「高市総理説」
シナリオ2「野田総理説」
シナリオ3「玉木総理説」

藤森祥平キャスター:
まずは、少数与党の自公から公明党が抜けました。これでさらに混沌としています。総理は誰になるのか、可能性が高そうな順番でお伝えしていきます。

一つ目は「高市総理説」です。どこの野党もまとまらずに、1回目の投票で各党が自分の党の党首の名前を書くということになりますと、上位2人の決選投票で高市総裁と野田代表が争うことになります。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
それで2回目も各党の党首の名前を書くと、自民党と立憲民主党以外は無効票扱いになるんです。2回目は多い方が勝ちですので、高市総裁が勝つということなんですが、そうすると、自民党と立憲民主党以外の政党は「何をやっているんだ」という批判が出ますよね。

それから、高市総裁が勝って、自民党の少数単独政権が発足しても、非常に不安定な政権なので、内閣不信任が出たらすぐ可決されるので、補正予算でも通したら年内に解散総選挙という動きになりますので、そうなったら今度、自民党は公明党の応援も得られないから困るということになってきますから、なかなか大変な局面になりますよね。

小川キャスター:
一方で、そうした局面のときに高市総裁が総理になった場合、「自民党の保守層が戻ってきて議席を増やすのではないか」といったような声もあるようですが。

星浩さん:
それは相当楽観的な人で、おそらく都市部のかなりの人は公明党の創価学会の世話にならないと選挙に勝てないという人がいますし、「保守層が戻ってくる」と言っていますが、保守層のかなりの部分は参政党に取られていますから、今度選挙になれば、自民党はおそらく相当厳しい状況になると思います。

一節には、公明党の応援がないというだけで、単純試算しても「議席は20~30は軽く減るだろう」と言われています。

藤森キャスター:
そして、二つ目は「野田総理説」です。これは野田代表に維新の会、それから国民民主党などの野党が協力して、高市総裁に勝つというシナリオですね。

星浩さん:
この場合は、野党政権ができて、国民民主党も維新の会も閣僚を出すということですね。

ただ野田代表は「自分じゃなくてもいい。玉木代表でもいい」と言っていますが、最終的には玉木代表と野田代表の話し合いでどうするのかと。数が圧倒的に多いのは立憲民主党なので、野田代表が「自分がやる」というのか、玉木代表と調整するのかと、そういうことになってきます。

藤森キャスター:
そして同じく、野党がまとまって国民民主党の玉木代表を推す「玉木総理説」ですが、その前に、そもそも国民民主党の玉木代表が自民党と組んで乗っかるということはないんですか。

星浩さん:
自民党と組んでも数は過半数に達しませんし、国民民主党と公明党が作っていた政治改革案を自民党が蹴ったわけですね。政治改革案を蹴られた側として、「公明党は抜けましたが、私(国民民主党)はついていきます」というのも少しかっこ悪いので、国民民主党が自民党と組むというオプションはなかなか考えにくくなりましたね。

そうすると、玉木代表が「自分がやるんだ」ということを貫くのか、立憲民主党を中心とした政権の中で重要閣僚をやって準備を整えるのかは、玉木代表の判断ということになってくると思います。

東京大学准教 斎藤幸平さん:
自民党と維新の会という組み合わせはないんですか?

星浩さん:
これは維新の会次第ですが、公明党が抜けたところに維新の会が入る事に対して、果たして自民党の中でウェルカムがあるかどうかですね。

公明党は創価学会の票がありましたが、維新の会は大阪の票しかないので、自民党の中で維新の会を歓迎するムードはなかなかないんですよね。

東京大学准教 斎藤幸平さん:
玉木代表があんな態度なので、そうなってくるとシナリオ1の「高市総理説」が有力かなと思いますが、それでも結局安定しないので、政治はますます停滞して空白が生まれて、結局、この間我々が苦しみますよね。

インフレ対策などが全然進んでいないことに国民は怒っているので、その不満は結局、「日本人ファースト」を掲げる参政党に行ってしまう。

この状況は、ヨーロッパなどでポピュリズムが出てきているのに似ているわけですが、ヨーロッパを見ると、この状況は打開策がほとんどなくて、年単位で続いていくということを、日本の我々も覚悟しなければいけないなというふうに見ています。

小川キャスター:
喫緊の課題がずっと宙に浮き続けていますからね。

星浩さん:
石破総理が続投するという可能性もゼロではないですが、“総総分離”、いわゆる総裁と総理が分離するという可能性もあります。

28日にトランプ大統領と日米首脳会談を開催しますが、実権のない総理大臣だけの石破総理に日米首脳会談が本当に務まるのかどうかという疑問もありますし、むしろ自民党の中で、高市総裁に対して不満をもつ人たちが造反を起こす可能性が出てくると、また複雑な動きに繋がってくると思います。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授
専門は経済・社会思想
ドイツに研究滞在も

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年
福島県出身