「レベルが違う。こだわり方が」逆風あっても変えなかった研究テーマ

―――信じてもらえない中、やり続けたと。

 ある現象について、「これはそういう細胞がないと説明がつかない」と。時間はかかったものの、自分の中では確信があったと思います。

 その頃、いろんな逆風があったことも知っていますので、その中でずっとやり続けたと思うと、もう全然やっぱりレベルが違う。こだわり方が。なかなかあんなことできない。たいていの研究者は、3年でうまくいかず研究費が取れなかったらすぐテーマを変えるんですよ。でも、坂口先生は変えなかった。

―――マーカーを見つけたのが1995年。そこから30年経っていますが、これだけ長い時間がかかるものなのでしょうか?

 マーカーを見つけた後、それをしっかり取り分ける因子が見つかり、世界中が「本当に制御性T細胞があるんだ!」と。それで研究が発展しました。

 ただ、それを臨床応用までつなげようというのは、すごい領域なので、その後20年かかった。もっと早く(ノーベル賞を)もらっていただいても良かったんじゃないかと。10年も前からすごいと言われていたので。