日銀短観「トランプ関税の悪影響」皆無?

日銀が3か月に1回、企業の景況感を調べる「日銀短観」。

1日に発表された、9月短観では
▼【大企業・製造業】の業況判断指数は「+14」と6月短観より1ポイント上昇
▼サービスや金融などの【大企業・非製造業】は「+34」と、6月短観から横ばい

――トランプ関税の影響で製造業は6月・9月ともに下がるのではと言われていたが2期連続の改善。非製造業も実質賃金が物価高で抑えられているので心配されていたが高い水準を推移している。

『ニッセイ基礎研究所』エグゼクティブ・フェロー 矢嶋康次さん:
「6月短観の調査では、企業に今年度の設備投資や収益がどのくらいになるか計画を聞いている。9月調査では6月に比べて、企業が利益の予想や設備投資の計画を上方修正している。企業も前向きになっているので、“トランプ関税による景気の悪い影響は全く出ていない”という見方もできる」

――思っていたほど、トランプ関税で傷ついてない、日本の自動車産業は依然として競争力があると?

矢嶋さん:
「見方は二つあって、15%の関税にびくともしないぐらい強いというもの。もう1つは、関税が引き上げられる前にいろんなものが動いているので、それがまだ9月ぐらいまで続いていて状況が良いという見方。そうなると今後“反動減になる可能性”もある」

「今のうちに利上げ」という思惑も?

利上げへの重要な要素である「物価」は、今後どうなるのか?

消費者物価指数はここのところずっと前年同月比3%超だったが、ニッセイ基礎研究所の見通しでは、「2026年度1.6%」を予想している。

『ニッセイ基礎研究所』エグゼクティブ・フェロー 矢嶋康次さん:
「これは上昇率なので、プラスということは物の値段はこれからも上がる。ただ、ここ数年はものすごい幅で上がったが、今後は上がり幅が減るので上昇率が下がっていくという見通し」

――そうなると、2%目標を掲げているのだから利上げをするような状況ではないという意見もある。

矢嶋さん:
「そういう意見も当然あるので、政策担当者からすると『物価が高いうちに利上げをしちゃいたいよね』という思いも出てくるだろう。それと、アメリカの利下げがこの先きつくなってくると、やはり何か動いたときに円高などのリスクを背負うぐらいだったら、今の良い状況のうちに利上げをした方がいいと思う人も出てくる。9月にETFの売却を決めたが、市場に対して影響がないということを一応確認できている。そういう意味では次の手を打ってもいいのではという判断になるのではないか」