高市氏「裏金問題は決着済み」新人事“裏金議員”起用は?

井上キャスター:
ポイントとなるのが「人事」です。高市氏は総裁選で共に戦った4人「全員に活躍していただく」と話しています。
小林氏に関しては要職で起用するのではないか。茂木氏は外務大臣というポストの名前が挙がっています。林氏、小泉氏がどうなっていくのか。

その中で、高市氏はかねてより裏金問題不記載議員については「議席を得られた方は再処分を行うことは考えていない。人事に影響はございません」と一貫していました。

岩田夏弥 政治部長:
高市氏は選挙中から「裏金問題は決着済み」という立場でした。それに対して、立憲民主党の安住幹事長は6日、「自民党が生まれ変わるんじゃなくて、裏金議員の人たちが復活して、昔の政治の悪い部分が戻ってくるという話だ」と強く牽制しています。
総裁選の中で一緒に戦った茂木氏や林氏は、党としてやるべきことはやりましたが、国民が納得して初めて決着だという考えも示しています。
高市氏が仮にそのような議員を要職に就けるのであれば、高市氏自身が国民の納得を得られるような説明をどうできるのかが焦点になります。
井上キャスター:
元々、参議院議員選挙で負けた後に解党的出直しと言っていたものが、古い自民党に先祖返りしているのではないかという感じもします。他には麻生氏などの名前も挙がっていますね。

岩田夏弥 政治部長:
そうですね。麻生氏に副総裁を打診をしていたり、麻生氏に近い麻生派・鈴木俊一総務会長が幹事長に最終調整しました。
顔ぶれを見ますと、今回の総裁選で高市氏の勝利に麻生氏が非常に大きな役割を果たしたことがうかがえます。しかし、そういった方々で要職を占めてしまえば、また古い自民党ではないかという批判も起きるのは確実でしょう。その他のポストを含めて、最終的にどうなっていくのかというところですね。
井上キャスター:
どなたが総裁のポストになったとしても、派閥の理論というのはある程度入っていたという、仕方ないところはあるだろうとは思います。しかし、自民党の信頼失墜の大きな要因は裏金であって、高市氏はそこが弱点になるのかなという気もします。

慶応義塾大学教授・教育経済学者 中室牧子さん:
総裁選の最中に国民の関心があったことの1つは、足元の物価高対策だろうと思います。これについて高市氏は総裁選中に、例えば診療報酬の引き上げや、ガソリンの暫定税率の廃止、さらに中長期で見ると、国家主導でAI、半導体やバイオなどの戦略的な投資をやります、とおっしゃっていました。
これだけを聞いていると、非常に大きな政府というのを考えておられて、積極財政派なのではないかと見られがちです。一方で、総裁選の最中に支出は抑制すべきではないけれども、無駄や非効率を排したワイズ・スペンディングが方針であるともおっしゃっていました。
そうしますと、片方で無駄を排しながら、片方で成長を生む分野に投資をする。これ自体は正しいと思うのですが、果たして少数与党になってしまった状況で、そういったことが可能なのか。どのような枠組みの中でそれを実現していこうとしているのか。私達はしっかり見ていかないといけないのではないかと思います。
出水麻衣キャスター:
そのあたり、麻生氏や鈴木氏との政策の齟齬はないのでしょうか。
岩田夏弥 政治部長:
高市氏が大きな方向を示してきたわけですが、少数与党なので野党との協力が大前提です。その中で、党の執行部が野党側と話をしていくわけですから、非常に重要なポジションになってくるわけです。
井上キャスター:
高市氏は積極財政ということで、国債も発行して成長に回していくと話しています。経済の専門家でも意見が分かれるところだと思うのですが、これは前向きに捉えていますか。それともリスクを考えていますか。

中室牧子さん:
非常に難しいところだと思います。かつて財源の裏付けがない政策を行おうとしたイギリスのトラス政権が、トラスショックで大きな経済危機に見舞われたのは広く知られるところですので、非常に難しい局面にいることも確かだと思います。