河野監督も「理解の外のことを平気でやる選手ですが、やりたいと思ってやっていることを、明らかに無茶だということ以外は止められません」と、小林の練習姿勢を認めている。しかし8月後半は、最後の30km変化走をレースに直結する高いレベルで行う必要があり、「(月間で)1200km近く行きそうな雰囲気があったので、30km変化走以外の日は、1日30km以内に抑えてくれ、疲労を取ってくれ」と話したという。
世界陸上7位入賞の結果を出せたのは、この2人のコンビだったからだろう。小林がスタート時に自信を持てたり、24kmで抜かれた時にも落ち着いていられたりしたのは、河野監督との練習が正解だと潜在意識で理解していたのではないか。
だが今後は、小林の立ち位置が少しずつ変化する。何も知らない状況で国際レースに挑むことは徐々にできなくなるはずで、小林本人も「今回のように周りを気にせず、自分の走りに集中できたらいいのですけど、これからは立場が変わってくる」と予想している。その一方で、走ることが大好きな点は変わらず、ジョグをいつまでも走り続けているだろう。
競技者になってまだ2年。小林の3年目以降が注目されるが、小林と河野監督のコンビなら、変化していく状況に応じて最適解を導き出していくはずだ。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















