中国の成長率「0%に近い」
深刻な経済状況を受け、中国政府は16日、景気回復に向けヘルスケアやレジャー分野の規制緩和などで「サービス消費の拡大を目指す」経済対策を発表した。
しかし、柯隆さんは「中国の成長率はもはや0%に近い」と厳しい現状を口にする。
【中国 GDP】※国家統計局
▼2025年4-6月期⇒前年同期比5.2%

『東京財団』主席研究員 柯隆さん:
「中国経済は今、“三重苦”に悩まされている。【コロナ禍の後遺症】がずっと残っていて、不動産バブルが崩壊した後の【不動産不況の長期化】。そこに来たのが【トランプ関税】。この三つが、いずれもまだクリアできていない。公式統計ではGDP成長率は5%となっているが、最近の状況見ると“0%に近い成長”になっているのではと感じる」
また、景気の良し悪しを示す【製造業購買担当者景気指数(PMI)】は、8月⇒「49.4」。目安の50を、5か月連続で下回っている。

柯隆さん:
「中国は世界の工場と言われていて、製造業購買担当者景気指数が50を下回るというのは、“異常事態”。“アラームが鳴りっぱなしの状況が続いてる”」
対米関税交渉「習氏はかなり譲歩する」
“三重苦”の1つである「トランプ関税」は、現在30%。
交渉がうまくいかなければ、一時停止されている24%の関税が上乗せされる可能性がある。

『東京財団』主席研究員 柯隆さん:
「関税30%をどう見るか。トランプ政権が一期目の時に課した<最高25%の関税>が残っているので、足すと50%前後の関税になる。中国の輸出製造企業の利幅を考えれば、50%前後の関税に耐えられるわけがない。VTRで出てきた深圳は、まさに輸出製造企業の町なので、経済は相当なダメージを受けている」
トランプ大統領は、10月末から韓国で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)にあわせて習近平国家主席と対面で会談を行うとしているが、関税交渉はうまくいくのだろうか。
柯隆さん:
「中国も対米交渉をようやく重視してきて、アメリカに対して譲歩し始めた。TikTokの売却もそうだが、今後交渉が行われる(合成麻薬)フェンタニルの問題とか、もう一つはレアアース。多分レアアースは少しずつ出していかなきゃいけない。関税を下げてもらうために習近平主席がかなり譲歩してくると思う」