高市総理の台湾有事に関する答弁をめぐり日中関係の緊張が高まるなか、両国の局長級協議が行われました。中国側は態度を硬化させていて、影響は様々な分野で出始めています。

記者
「どのような話をされたんでしょうか?」

きょう北京で、中国外務省の劉勁松アジア局長と会談した外務省の金井正彰アジア大洋州局長。

会談後、憮然とした態度で出てきた劉局長は、今回の会談について「もちろん不満だ。雰囲気は厳しかった」と話しました。

また、中国外務省の報道官はさきほど、会談の内容について「高市総理の誤った発言について改めて日本側に厳正な抗議をするとともに撤回するよう求めた」ことを明らかにしました。

解消の糸口が見えない日中の緊張。その影響でしょうか…

北京の映画館。映画『クレヨンしんちゃん』の宣伝映像が流されていましたが、突如停止しました。

記者
「いま、『クレヨンしんちゃん』の広告が削除された模様です」

中国メディアは、中国で予定されていた映画『クレヨンしんちゃん』と『はたらく細胞』の公開が見送られると報じました。中国政府による対抗措置の可能性もあります。

「映画はいつでも見ることができますが、(中国側の)姿勢を示すことは重要です」

中国のSNSでは公開見送りを残念がる声も。

中国SNS
「嫌だ。しんちゃんは悪くない」
「『はたらく細胞』楽しみにしていたのに」

また、中国では映画『鬼滅の刃』が先週公開され、興行収入がおよそ80億円を超える大ヒットとなっています。

「『鬼滅の刃』は私も好きです。普通の交流は(日中関係悪化の)影響を受けないと思います」

SNSでは『鬼滅の刃』の上映打ち切りを懸念する声もあがっています。

中国SNS
「みなさん早く見に行かないと、数日後には『鬼滅の刃』も…」
「すぐにチケットを買って、あすの夜もう1回見に行きます」

また、中国政府は対抗措置として渡航自粛を呼びかけています。その影響は出ているでしょうか。
 
旅行代理店
「キャンセルは非常に少ない。週末は少しだけ増えているけど、ほぼ影響はない」

ただ、上海の旅行代理店は別の会社から、こう言われたといいます。

旅行代理店
「別の会社から『まだ日本行きを扱っているの?』と問い合わせがあった。『作業してもキャンセルすることになるからやめときな』と言われた」

中国メディアは、上海の別の旅行会社について「日本向けツアーのキャンセル率は6割を超えた」などと報じています。

また、中国教育省は日本への留学を慎重に検討するよう呼びかけていますが、日本の大学への留学を目指す中国の学生からはこんな声が聞かれました。

高校3年生
「正直に言えば少し心配になることもありますが、日本で学びたい気持ちは変わりません」

高まる日中の緊張。影響はどこまで広がるのでしょうか。