中ロ朝トップが初集結 「影の主役はトランプ氏」それぞれの思惑が交差

高柳キャスター:
今回のパレードは、習近平国家主席、プーチン大統領、そして金正恩総書記が初めて同席したものとなりました。今回の注目ポイントはどこになりますか?

JNN北京支局 立山 支局長:
今回注目したのは、影の主役はトランプ大統領ではないかという事です。

中国は、長い時間をかけてアメリカに勝つことを目標にしています。今回の軍事パレードで披露した数々の新兵器も、最終的にはアメリカに対抗して、自らに有利な国際秩序を作りたいという思惑があります。その思惑のためにも、「ロシアや北朝鮮が共にいる」ということをアピールすることで、アメリカとの交渉を有利に運びたいという狙いがあると思います。

また、プーチン大統領はウクライナ侵攻で国際社会から非難を浴びています。今回のパレードの壇上に立つことで、「自分は孤立していない」というメッセージを発信することができます。また、トランプ大統領と交渉する中で「中国や北朝鮮とも親密なんだ」ということを見せつけることで、交渉を有利にしたいと考えていると思います。

今回、北朝鮮が中国に来た理由は2つあると思います。

最近、北朝鮮はロシアと接近しており、中国はそれを面白いと思っていません。しかし、中国と北朝鮮は隣国で、長い付き合いがあり、経済的な結びつきも強いです。この記念式典に出席するというのは、関係改善をする良いきっかけになったのではないかと思います。

もう1つは、アメリカです。トランプ大統領は「金正恩総書記と2025年内に会いたい」と話していました。過去3回の米朝首脳会談の前、北朝鮮は必ず中国首脳と事前に調整をしていました。中国としても、「北朝鮮の後ろには自分たちがいる」ということをアピールすることで、米朝の交渉に陰ながら参加したいという思惑もあると考えます。

今回のパレードではそれぞれの思惑が重なり、3人が一緒に並ぶという異例の展開になったのではないかと考えています。

井上キャスター:
トランプ大統領は今まで、自国ファーストで「他の外交や、世界秩序には関与しないんだ」と言っていました。しかし、そういった中でも、トランプ氏を中心に世界が回っている感じがします。

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<プロフィール>
立山芽以子
JNN北京支局長
ポッドキャスト「北京発!中国取材の現場から」配信中

肉乃小路ニクヨさん
銀行・保険会社など金融業界でキャリアを積む
独自の視点で経済・お金・人生観を語る