株価「4万円割れ」の“落とし穴”も

一方、「業績下振れ」のリスクもあるという。

▼2026年度の業績が予想ほど“改善しない、悪化”
▼市場が“近視眼的”になる

『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「アメリカは今は景気が良いが、スタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行)に近い状態に陥る可能性はもちろんなくはない。幅広い分野で価格転嫁が進んでいくはずで、インフレは若干再燃気味になると思う。あとは景気が持ちこたえられるかどうか」

そうなると大事なのは、「実質賃金」だという。

井出さん:
「インフレは2~3%で続く。今は賃金がまだ4%近く伸びているので実質賃金がプラス1~1.5%。ただ、ちょっと労働市場が雲行き怪しくなってきた。労働市場が緩んできて賃上げ率が下がり実質賃金がマイナス、もしくはプラマイ0に近づいたりすると、景気への心配というのも高まってくる」

そして、景気の後退や景気悪化になる前に起こるのが「マーケットの近視眼」だ。

井出さん:
「マーケットは、調子の良い時、楽観的な時は来年再来年と少し先を見る。ところが景気後退期みたいなのが近づいてくると『来年とかじゃなくて今年だ』、『今年度きちんと黒字を出せそうな会社はどこだ、配当を払えそうなのはどこだ』と近視眼的になる。そうなると2025年度の日本企業は大幅減益の見通しだから株価も当然下押し圧力。場合によっては10%下がって4万円割れなんていう“落とし穴”も知っておいたほうがいい」

今は買い時?控え時?

では、今は買いなのか、リスクを考えて買わない方がいいのか?

『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
“中長期の投資家なら全然買っていい”と思う。今話した程度の落とし穴なら、1年も経たないうちに株価は落とし穴から脱出するはず。令和のブラックマンデーもトランプ関税の時も一瞬ドーンと下がったけどまたすぐ回復している。アメリカがもう少し本格的な景気後退になったとしても、過去アメリカの景気後退は基本的に1年以内に終わっている。マーケットは3か月から6か月先取りして動くから、もし落とし穴に一旦はまっても1年経つか経たないで脱出できると考えていい」

8月の格言「過去は最良の預言者なり」

未来を予測するには、過去の出来事や経験から学ぶことが重要という意味。

井出さん:
「今回みたいな〔企業業績減益株高〕の現象は5年前にも起きた。コロナの時の経験をもとに、ある程度の予測というかイメージはできるけども、一方で、落とし穴もいくつかあるよと。そういうリスクもあるということは知っておいて欲しい」