4月の株価急下降からのV字回復。似たような状況が起きた2020年のコロナショックの経験から考える、今は買い時?それともリスク含みの落とし穴?

株高背景に「合意ドミノ」と「雇用統計」

8月は日経平均株価が連日の最高値更新となり、史上初4万3000円を突破した。

【株価高騰の背景】には何があったのか?
ニッセイ基礎研究所の井出さんは、「7月下旬から状況が一変した」と話す。

『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「4万円回復は相当難しいのではと正直思っていたけど、もう完全にステージが変わった感じ。トランプ関税が25%⇒15%になり、自動車も引き下げになったことが非常に大きい。しかも、EUも関税引き下げで合意。中国も90日間追加で協議の時間を設けると。いわゆる【合意ドミノ】。その後もトランプ政権がいろいろと態度を和らげたりとかでいい状況になってきた」

また、8月1日に発表された【米国の雇用統計】も背景にあるという。

井出さん:
「正直内容があまりよくなかった。しかも5月6月分のNFP(非農業部門雇用者数)の伸びが大幅に引き下げられてFRBの利下げ期待が高まった。これも株高に繋がった」

25年度「減益」見通しでも「株高」ナゼ?

さらに井出さんは、日本の決算発表も株高に関係していると話す。

『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「ちょうど7月下旬から8月中旬にかけて、日本では決算発表のシーズンだった。【3月期決算企業の第1四半期決算】、これが株高に弾みをつけた」

【2・3月決算企業の純利益合計額】
ー2025年度
▼会社予想:36.8兆円〔前期比9.7%減〕
▼市場予想:39.1兆円〔4.1%減〕
ー2026年度
▼市場予想:43.4兆円〔10.8%増〕

※TOPIX構成企業のうち8月12日時点で会社予想・QUICKコンセンサス予想がある約750社

井出さん:
「会社側が発表した数字と、市場つまり証券会社のアナリストの予想を集計したが、どちらも2025年度は“減益”となっている。業績悪化の見通しが出揃ったのに株価が上がったのはナゼか。“マーケットが見ているのが2026年度の市場予想”だから。〔10.8%増〕と2桁増益が見込めるなら今株買っていいよね、という見方が広まった」

――第1四半期の時点で来期を見るのは、ちょっと早すぎないかと思うが

井出さん:

「例年だと、10月11月、12月ぐらいから年明けにかけて段々市場の目線が来期に移っていく。ざっくり言うと中間決算が発表されてもう半分は見えた、じゃあ来年度どうなりそうなのと変わっていくけど、早い時期に市場の目線が来期に移ったというのは、実は2020年に前例がある」