■「不本意だが…」県連との“手打ち”
同じ日の兵庫県。雨雲が近づくなか、新神戸の駅に降り立ったのは、自民党で選挙を取り仕切る遠藤利明選挙対策委員長だ。公明党との協力を渋る兵庫県連の説得に訪れたのだった。電話一本で済ませることもできたのだろうが、遠藤選対委員長は、足を運んで地元の声に耳を傾け、誠意ある姿勢を見せることが重要だと考えていた。兵庫県連の藤田孝夫幹事長との会談は、報道陣には非公開で行われた。話がこじれて長引くかとも思われたが、遠藤選対委員長は、小1時間で外へ出てきて、報道陣の取材に応じた。「地元としてはかなり不本意な部分があるが、最後は党本部の考えに従う」。県連側から、この言葉を引き出したことを明らかにした。その条件として、県連からは、応援演説の弁士や印刷物の手配など、党本部が手厚い支援体制を組むよう要請されたという。
最も難しいと思われていた兵庫県連との“手打ち”を済ませ、遠藤選対委員長の表情には安堵の色が浮かんでいた。「これで党内をまとめて、公明党さんと改めて協議させていただきたい」。自民党としては、2月上旬をメドに、公明党との相互推薦の協定を結びたい考えだ。遠藤選対委員長が、報道陣にあえて「不本意」という言葉を紹介したのは、兵庫県連の心情を代弁することで、不満を“ガス抜き”する意図もあったのだろう。だが、その「不本意」という言葉が、再び公明党内に波紋を広げている。
■「不本意な推薦」が公明党に波紋
「『不本意ですが』の前置きで、推薦書が取れましたと持って来られても、何の意味もない。(自民党の地元組織が)それで公明党の候補を応援するはずがない。なめているんだ、公明党を」(公明党幹部)自民党の地元組織が渋々、公明党候補の推薦に応じたとしても、熱心な応援は望めない。
この公明党の幹部は、自民党との相互推薦を見送る方向性は変わっていないと明言した。
ギクシャクした自公の関係は当面続くことになりそうだ。
TBSテレビ政治部 与党担当
揖斐祐介、宮本晴代、内野優