■くすぶる“大宏池会”構想・・・第5派閥の悲哀

1月5日夜、東京・帝国ホテルにある鉄板焼が有名なレストラン。岸田総理は、麻生副総裁、遠藤選対委員長と会食した。麻生氏が率いる麻生派(志公会)と、遠藤氏が所属する谷垣グループ(有隣会)はもともと、総理が率いる岸田派(宏池会)の流れをくむ。これらの勢力が再結集するのではないかという“大宏池会”構想がくすぶり続けている。
遠藤氏が麻生氏にこの夕食会を呼びかけた時、麻生氏は、

「この3人が飯食えば“大宏池会”って言われるんじゃないか」

と応じ、「この3派が集まれば安倍派を越えて最大派閥になる」と盛り上がったという。この会食でこの話が再度持ち上がったかどうかはわからない。しかし、総理は2年前の岸田派のパーティーで「宏池会の大きな塊を実現するために私自身汗をかいていきたい」と発言し物議を醸したことがあった。このときのことをこう振り返っている。

「現実の政治において自分1人ではできない。より多くの賛同してくれる政治の塊が必要である。そういった1つの例として宏池会のつながりということをあげた」

現在は麻生氏も遠藤氏も派閥の合流には消極的で、この構想は下火だ。
ただ岸田内閣の最初の人事をみると、鈴木財務大臣(麻生派)、中谷総理補佐官(谷垣G)、麻生副総理(麻生派)、遠藤選対委員長(谷垣G)と重要閣僚や党幹部に宏池会系の議員を据え、「これは大宏池会人事ではないか」とささやかれた。総理は派閥の合流にこだわっていないのかもしれないが、第5派閥の領袖として、同じ考えを共有する大きな塊が必要との認識は変わっていないはずだ。

■“ハネムーン期間”がおわり・・・見据える長期政権の可能性は?

1月11日で岸田政権が発足して100日を迎え、いわゆる“ハネムーン期間”が終わる。最初の100日間は有権者もメディアも批判を抑える傾向があるからこう呼ばれる。これからはいよいよ真価が問われることになる。
2021年12月、岸田総理にとって初めての臨時国会はわずか16日間だった。1月17日からはじまる150日間の通常国会ではこれまで以上に激しい与野党の本格論戦が予想される。そしてそれが終われば参議院選挙が待ち構える。

「安定政権があってこそ、難しい課題、重要な課題に結果を残すことができる。なんとしても参院選挙は勝たなければならない」

年が明け、岸田総理からはこの夏の参院選を意識した発言が目立つようになってきた。しかし今回の参院選の勝利は容易ではない。
政権にとって最大の不安定要素はオミクロン株の急速な拡大だ。9日からは岸田内閣で初めてとなる「まん延防止等重点措置」が実施され、これからは本格的にコロナの“第6波”と対峙することになる。対策次第で支持率は一気に下がる可能性もはらんでいる。

参議院選挙はこの政権にコロナ対策や経済対策を託していいのかどうか、岸田総理としての“実績”が評価されることになる。この選挙に勝利し、長期政権も視野にいれるのか、まだその見通しは明るくない。

TBSテレビ報道局政治部 官邸キャップ
室井 祐作