■「8月26日。強く印象に残っている」

「また来年もしっかりと政治の責任を果たすべく頑張りますので、また皆さんの立場で色々政治についてご意見を頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

2021年、官邸での最後の仕事を終えた岸田総理は、我々記者団にこう言って頭を下げた。記者から2021年はどんな年だったかと問われ、総理は迷う様子なく、答えた。

「今年1年振り返って、特に8月26日に自民党総裁選挙に立候補を表明しました。あれから4か月が大変慌ただしい日々でした。強く印象に残っています」

岸田氏が、感慨深く振り返った「8月26日」。岸田政権の誕生に、この日がどんな意味を持っていたのか。総理側近らが、その“舞台裏”を明かした。

■「自分は出るんだ、これはもう迷ったこともない」

「もうかなりやる気が違うな、と率直に感じました」
当時の話を振り返るのは、内閣官房副長官の木原誠二氏。岸田派の事務局長でもあり、岸田総理の最側近のひとりだ。ある自民党の重鎮も「岸田総理は木原氏に全幅の信頼を寄せている」と話す。

木原氏は、当時「総理がコロコロ変わるのは良くない」との思いから、「今回、岸田氏は総裁選に出馬するべきではない」と考えていた。しかし、その考えは、岸田氏自身の固い決意の前に崩れ去る。

岸田氏が出馬表明する2日前の8月24日。木原氏は岸田氏からこう告げられた。

「自分は出るんだ。これはもう迷ったこともない」

これを聞いた木原氏は、岸田氏の「本気度」を感じ取り、こう思った。

「闘いが来たな」ー。