黒大豆からコメへ 気候変動で特産品からくら替え

 コメの高値は特産品にも影響を与えています。7月に最高気温41.2度を観測した兵庫県丹波市。猛烈な暑さが丹波を代表する「秋の味覚」に影響を与えることになりそうです。

 丹波産の新鮮な野菜や特産物を販売する道の駅「丹波おばあちゃんの里」。たくさんの野菜やフルーツが並んでいます。猛暑の影響を聞いてみると…
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 (丹波おばあちゃんの里・農畜産物生産者部会 細田泰宏会長)「(気温35℃以上で雨が降らないと)畑で作っている作物というのは、上から水をやっても焼け石に水という状況ですので、ほとんどやられています」

 水分不足の影響でピーマンやキュウリは大きくならず。トマトはお盆中に雨が降ったものの、一気に水分を吸ってしまったため実が破裂するなどの被害が出たといいます。

 産直市場ということもあり、値段を高く設定しにくく、農家への打撃は大きいようです。

 さらに丹波市の名産といえば「黒豆」ですが…

 (丹波おばあちゃんの里・農畜産物生産者部会 細田泰宏会長)「35℃前後の暑さが続くとものすごく影響が出ます。花が落ちてしまうとか、ついたさやもなかなか成長しない」

 猛暑の影響がすでに黒豆の生育に影響を与えていると話す細田さん。さらに、黒豆の収穫量が減る理由があるといいます。

 (丹波おばあちゃんの里・農畜産物生産者部会 細田泰宏会長)「非常に今、コメが高くなって、今まで黒豆をたくさん作っていたけど少し減らしてコメにしようか、コメのほうが安定した収入が見込める、値段も上がっているということで、そちら(コメ)にくら替えする方もあったのではないか」

 今年はコメの買取価格が上がったため、黒豆作りを減らし、コメ作りに転換する人が増えたといいます。この現象は黒豆だけに限らず、丹波市が誇る高級食材「丹波大納言小豆」の生産にも…

 (丹波おばあちゃんの里・農畜産物生産者部会 細田泰宏会長)「(Q丹波の名産品が少なくなることへの懸念は?)あります、あります。もうこの先どうなるんやろと。後継者もいないし、作っているほとんどが高齢者。今までずっと頑張ってきたけど、体力的に限界だということで、作る量を減らしていく、面積を減らしていくという状況が進んでいる」

 国は農業のスマート化を推進しようとしていますが、高齢者の自分たちが果たしてどこまで適応できるのか、と細田会長は心配していて、農業に従事する高齢者に対する政策をしてほしいと訴えています。
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 同じように兵庫県丹波篠山市の今年の作付計画では、黒大豆は去年より約66ha(9%)減少し、680haに対して、水稲は去年より約74ha(3.3%)増加して2322haとなっていて、転作した人が多いことが推測できます。