長年にわたり日本人抑留問題に取り組んでいた井手裕彦さん(70歳)は、抑留先のモンゴルで亡くなった人々の“死亡記録”を、5年前に現地で発見しました。

「私が持ち帰らないと、この人を見捨てるような気がして…」

日本人軍医らが死因やいきさつなどを記した379人分の死亡記録。
2020年当時、日本政府も手にしていないものです。

「記録に書いている背景、どういう収容所であって、その病気がどんな風に蔓延していたか、この人の抑留の状況がどうだったのか、そういうことをつなぎ合わせると、その人自体の生きざまが浮かびあがる」

政府に情報提供する一方で遺族にも知らせるべきだと考えた井手さんは、さまざまな形で抑留犠牲者の最後の情報を集め、自らを『死亡記録配達人』と称して活動を始めました。