九州では記録的な大雨に見舞われ、福岡県、長崎県、大分県、熊本県、山口県で「線状降水帯」が相次ぎ発生。各地で8月の平年雨量を大きく上回りました。発生の背景には、梅雨末期特有の気圧配置と大量の水蒸気の流入がありました。

なぜ「線状降水帯」が発生したのか

10日午後4時頃、北から線状の雨雲が次第に流れてきて、午後8時前には大分県西部で「線状降水帯」が発生しました。日田市では観測史上最多となる1時間117ミリの猛烈な雨を観測。このあと雨雲はさらに南下し、熊本県では大雨特別警報が発表され、災害級の大雨となりました。

降り始め(6日午後5時)から11日午後3時までの降水量は、山口県下関市竹崎で425.5ミリ、福岡県宗像で602.5ミリ、大分県日田市椿ヶ鼻353ミリ、佐賀県鳥栖で320ミリ、熊本県甲佐で686ミリ、長崎県雲仙岳で580.5ミリに達し、各地で8月の平年1か月分を大きく上回っています。

日本付近は梅雨末期に大雨をもたらすような気圧配置となっています。対馬海峡付近にのびる前線に向かって大陸方面から西よりの季節風が流れ込み、さらに高気圧周辺の風が東シナ海でたっぷり水分を含んで流入。その結果、次々と発達した雲が形成されました。これがいわゆる「線状降水帯」です。

また今回は、前線上の低気圧に湿った空気が集中的に流れ込んだため、九州を通過するタイミングで雨の降り方が一層強まりました。

大雨の峠は越えましたが、これまでの雨で地盤の緩んでいる所があります。引き続き土砂災害などに警戒が必要です。