「1人で家の外に出るのは怖い」クマの脅威は関西でも
そして今、クマの脅威は関西の街にも迫っています。
7月15日の早朝、奈良県五條市でツキノワグマが出没。女性(82)が自宅の玄関を出たところクマと鉢合わせ、顔を引っかかれるなどし重傷を負いました。女性を襲ったクマは今も見つかっていません。
クマの出没は他の場所でも。ドライブレコーダーに残された映像には車道を右へ左へ走る黒いクマが映っています。車に気づいたのか森の中へと走り去ります。映像は今年5月、奈良県天理市で撮影されました。
運転していた男性は最初、クマとは思わなかったといいます。
(車を運転していた男性)「なんかピョコピョコ走っているな、あれ何やろと。クマなんているわけないと思っていた」
撮影されたのは市街地から約1km離れた国道で、天理市内でクマが目撃されたのは今回が初めてだといいます。
さらに、今年6月には奈良市内の畑でもクマの目撃情報が寄せられました。すぐそばには小学校や民家もあります。奈良市でもクマの目撃は今年が初めてで、しかも今年5月以降、20件もの目撃情報が寄せられているといいます。
(周辺住民)「おっかないですね、この辺まできましたかという感じです」
(周辺住民)「1人で家の外に出るのは怖いという気もしますね」
奈良市の担当者も急な変化に驚いています。
(奈良市・農政課 笹本祐課長)「これまで県の南部に限られていたクマの目撃情報が奈良市でもありまして、非常に重要な問題だと捉えています」
県や奈良市によりますと、クマの生息地域は県の南部を流れる吉野川より南とされています。しかし、今年に入って川の北側にある奈良市や天理市など少なくとも5つの市や村でクマの目撃情報が寄せられているのです。
なぜ、クマが街へと近づいているのでしょうか。実はツキノワグマは地域によっては絶滅の恐れがあるため狩猟が禁止されるなどしています。
クマの生態に詳しい専門家は、狩猟や捕獲が減りクマの数が増えたことで生息エリアが拡大し、若いクマが新たな生息地を求めて移動している可能性を指摘します。
(野生動物保護管理事務所 中川恒祐さん)「若い個体というのは人に対しての警戒心が低く、人がいる前にふっと出てきてしまうことが特徴としてある。移動していく中でいろんな所で目撃をされる状況が発生していると思われます」
奈良県内で目撃情報が寄せられた市では、住民にクマ鈴を配布したりオリや看板を設置したり、急遽の対応に追われています。