涼しい風がほしいのは人間だけではありません。

ここは福岡県内にある養蜂場。連日の猛暑でミツバチがある行動をとっていました。

藤井養蜂場 藤井敬三 会長
「風を送り込んでいますね。巣箱の中が暑いので、羽を広げて風を送り込んで少しでも涼しく、そういう思いやりのあるミツバチです」

これはミツバチの「旋風」という行動。羽を震わせて風を送り込み、女王蜂がいる巣箱内の温度を下げようというのです。

藤井養蜂場 藤井敬三 会長
「(ミツバチは)暑さにはあまり強くないですね。暑いと女王蜂が毎日2000個~3000個の産卵が止まってしまう。そうすると後継者ができなくなってしまう」

子孫のために“働き蜂”が必死に羽ばたきますが、「旋風」を行い続けるとハチの寿命は縮まってしまうそうです。

この養蜂場では過去に暑さの影響で20万匹ものミツバチが死んだ年もあったそうです。その経験から夏場は平地より100メートルほど高い山間部に巣箱を移動させ、暑さ対策を行っています。

実はこのミツバチ、生態系にとって重要な役割を担っています。30年ミツバチの研究をしている専門家は…

京都産業大学 生命科学部 高橋純一 准教授
「野生の植物の受粉をしているニホンミツバチが減少してしまうと、自然の植物が減少する」

農作物にも影響が出ます。日本ではイチゴ、メロン、スイカなど農作物の70%がミツバチなど昆虫によって受粉しているといいます。もし、ミツバチがいなくなるとどうなるのでしょうか?

京都産業大学 生命科学部 高橋純一 准教授
「(農作物が)最悪生産できないか、あるいは人の手で受粉するようになる。すごく高い農作物になってしまう」

史上最高気温を更新している今年の猛暑。生態系全体への影響が懸念されます。