「国民主権」と「国家主権」の違いに警鐘
加藤氏は、今回の参院選で議席を伸ばした参政党が掲げる「国家主権」について、注意が必要だと指摘する。
投票率が50%程度の中で、得票率40%の政党が政権を担えば、全有権者のわずか20%の支持で国の方向性が決まってしまう。残り80%の国民にとって大きなリスクだと警鐘を鳴らす。
こうした発想は、欧米の民主主義の原則とはかけ離れており、「日本は危うい方向に進んでいるのではないか」と海外から懸念される可能性があるという。
参院選で、私たちは投票というかたちで意思を示した。だが、そこが終わりではない。

「新しい政党が出ることは悪いことではない。その中に過激な主張をするものがあってもよい。国会という場で様々な議論をすればよい。繰り返しになるが、大事なことは私たちがその政党や議員の行動をしっかりと見ていくこと」
「選挙の後も政治を『自分ごと』として必要に応じてデモなど声を上げることが、民主主義の本質であり、結局は私たち一人ひとりの利益になるのです」と締めくくった。
加藤秀樹(構想日本代表)
京都大学経済学部卒業後、1973年大蔵省入省。証券局、主税局、国際金融局、財政金融研究所などを歴任。1997年4月、非営利独立のシンクタンク「構想日本」を設立。2009年に政府の行政刷新会議の事務局長に起用され、国レベルの事業仕分けに取り組む。公益財団法人国際連合協会評議員、一般財団法人地球・人間環境フォーラム評議員などを務める。