きょう午前11時11分の打ち上げが直前で緊急停止されたH3ロケット8号機について、JAXAは「冷却水注水設備の異常を検知し、緊急停止した」と明らかにしました。新たな打ち上げ日時は現時点では見通せないとしています。

H3ロケット8号機は、17日午前11時11分に種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でしたが、カウントダウンが中断。JAXAは「設備系に異常が確認された」として、打ち上げを中止していました。

異常が確認されたのは、発射場の冷却水注水設備です。
冷却水注水設備の異常が検知されたのは、打ち上げの16.8秒前だったということです。

水の量が規定の圧力に達していなかったとみられ、自動で緊急停止しました。
JAXAによると、冷却に必要な量の水が出なかったとみられています。

H3ロケット本体と搭載している準天頂衛星システム「みちびき5号機」にも損傷は確認されていないということです。

冷却水注水設備とは

冷却水注水設備は、高温のロケットの噴流から射場やロケット本体、衛星を守る設備です。

水タンクを窒素ガスで加圧して、高温のロケットの噴流に注水して冷却し、射場のフレームデフレクタ(ロケットの噴流の方向を変えるための耐火コンクリートの壁)などを守る役割と、発生した水蒸気により、ロケットエンジンが発する大きな音響を吸収し、衛星やロケットを守る役割があります。

JAXAは午後2時から「H3ロケット8号機に関する記者会見」を開いています。

打ち上げ責任者のJAXA・有田 誠プロジェクトマネージャは、「ずっとお待ちいただいていた関係者に申し訳ないと同時に、H3の打ち上げを楽しみにお待ちいただき、種子島まで来ていただいた、遠くから見守ってくださった皆様のご期待に沿えず申し訳なかった」とコメントしています。

冷却水注水設備で異常がおきた原因は調査中で、「新たな打ち上げ日時は見通せない。できるだけ早く再開したい」としています。

【状況の時系列】
・打ち上げのカウントダウン進み30秒を切る
・打ち上げ17秒前付近でカウントダウンのアナウンスが途切れる
・打ち上げ時刻の午前11時11分00秒を過ぎても打ちあがらず
・JAXAから「緊急停止が発令された」とのアナウンス
・「設備系にて異常が発生したため、本日の打上げを中止」と発表

H3ロケット8号機は、当初、今月7日に打ち上げられる予定でしたが、ロケットの姿勢制御に使われる装置などに不具合がみつかり、きょう17日に延期となっていました。