Q.あえて伺いますが、日本語で今伝えたいという思いを、言葉にしていただくとしたら
イチロー:
特別な何かを持っている訳じゃない選手が、今ここにいるということは、メッセージになるだろうなと。野球をやっている子供たち、今の選手、現役の選手もそうかもしれないですね。見た目で言えば、もうごくごく普通の選手が積み重ねて、いろんな道をたどって小さなことを積み重ねていくと、結果ここに今いるっていう事実。それは知っておいてもらいたいことですね。
Q.この町(クーパーズタウン)っていうのは、日本では聖地みたいな言われ方をしていますが、聖地だというような感覚は、イチローさんに今伝わってきていますか
イチロー:
まだそこまではいってないかな。でもこれからそうなっていくんじゃないですか。その空気の流れ方とかね。穏やかな気持ちになる。だけど野球に溢れてる場所なんで。携帯も持ちたくないっていうかね。時間の流れ方が明らかに違う。
Q.この街に最初に来たときに、イチローさんに野球とベースボールの違いは?というお話をしたら、接吻とキスの違い、台所とキッチンの違いとか、そういうことをおっしゃいました。あれから四半世紀が経って、今、野球とベースボールって、イチローさんの中では、どう違うと思いますか。
イチロー:
それなんか逆転してる感じあるよね。当時はそう思ってたけど、日本語と英語でニュアンスが変わるでしょう。こっちの方が“台所っぽい”なって今は思う。でも普段のMLBに接してると、なんか、キッチンが浮いてなんか地に足がついてない状態でも何かできるような、そんな感じに見えるんだけど、ここは何か台所でしっかり・・・そうね。地に足がついてる感じがするかな。人もそうなんじゃないかな。そういう野球が好きな人たちが集まるところ(という感じ)。