■ミサイル着弾に各国の軍事データ 公表できないワケ


井上キャスター:
軍事データは最高機密になるので簡単には公開できないでしょうが、やはりそういった証拠を全て出してもらうと国際社会もわかりやすくなると思います。その辺りの軍事データというのは、アメリカや各国、NATOなどが今掴んでいると言っていますが、それらは国家機密の点でなかなか公表できないものなのですか?

明海大学 小谷教授:
やはりレーダーで捉えた情報というのを公開してしまうと、そのレーダーの能力を第三国に示すことになってしまいます。これを公開するというのは非常に難しいと思います。ただNATOがウクライナと、その情報を共用するということはできると思いますので、この先、ウクライナも自分たちの調査、そしてNATOから提供されたデータを見比べて、最終的な結論を出すと思います。

■ロシアが狙う ウクライナ・ポーランドの関係のこじれ NATOへの挑発


井上キャスター:
ポーランドはそもそもウクライナからの避難民を相当多く受け入れている、大きな大きな支援国の一つであるということを考えると、ウクライナとしてはもちろんポーランドとの関係性がこじれるというのは避けたいわけですよね?

明海大学 小谷教授:
特にロシアは今回、ウクライナが意図的にミサイルをポーランドに打ち込んで、それをロシアのせいにして、ポーランド、さらにはNATOをこの戦争に引き込もうとしてるという嘘を流そうとしています。そのような状況ですので、やはりポーランドとウクライナの間でできるだけ早くこの問題を解決するということが必要だと思います。

井上キャスター:
ロシアとしてはそこまで考えて、国境にミサイルを放っているというふうに考えていいのでしょうか?

明海大学 小谷教授:
ロシアは、11月15日だけでウクライナ全土に96発のミサイルを撃ち込みました。そして、その中には今回問題になってしまった、国境線ギリギリのところにある火力発電所を狙ったミサイルもあったのです。これはポーランドとの国境ギリギリを狙うということで、ポーランドあるいはNATOに対する挑発という意味合いもありました。この先もこのウクライナとポーランドの問題が急速に改善しなければ、ロシアとしては、そこにつけこむ隙が生まれますので、さらに国境線沿いにミサイルを撃ち込むということになるかもしれません。