■「自分たちのミサイルであった」とウクライナが認める可能性高まっている


井上貴博キャスター:
各国の持ってる証拠を突き合わせて、クリアにしてもらいたいと思いますが、あくまでもNATOもアメリカも、ウクライナを非難していない状況で、ウクライナの主張とNATOの主張が対立してしまうと、ウクライナにとっての損失が大き過ぎないかと思います。

明海大学 小谷哲男教授:
NATO、アメリカは、自分たちが持っている防空レーダーの情報から、今回、ウクライナのおそらく防空ミサイルがポーランドに着弾してしまったというふうに分析をしているようです。ウクライナのゼレンスキー大統領は、やはり部下から上がってきた情報を信じて、「これは自分たちではない。ロシアのミサイルだ」というふうに今のところは言っています。

ただ水面下では、ウクライナからもアメリカに対して、自分たちのミサイルである可能性をのめかすという状況のようですので、ウクライナとしては自分たちもきちんとポーランドで(現地)調査をして、その結果、自分たちのものだったと確認する。そういう手続きが必要なんだろうというふうに思います。そういう意味では、いずれかの時点でウクライナが「自分たちのミサイルであった」というふうに認める可能性が今、高まっていると思います。

井上キャスター:
そうなると、水面下ではウクライナとしても認めつつある中で、やはり表向きはしっかりと調査して、やはり自分たちは自己防衛をしたまでなので、自分の兵士の士気もあるだろうし、今はそういうポーズを取っているということですか?

明海大学 小谷教授:
ゼレンスキー氏は大統領であり、最高司令官ですから、部下が上げてきた情報を信じないというのはなかなか難しいと思います。やはり自分たちの手でしっかりと調べて、自分たちのミスがあったんだと確認する。そういう手続きがなければ、なかなか第三国の情報のみで間違いを認められないということだと思います。

■ウクライナの地対空ミサイル「S-300」とは? 一方のロシアの狙いは?


ホランキャスター:
ロシアの「ウクライナ空軍のS-300と確認されている」との発言。このS-300とはどういったものなのか見ていきましょう。

S-300はウクライナの迎撃システムで使われるミサイルということなのですが、地対空ミサイルで、射程は約150km、ロシア製ということです。

ロシア側は迎撃システムS-400を使用しているということで、防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんは「S-300は新型ではないため、迎撃能力は劣る」としています。


ミサイルが仮にウクライナから迎撃のために発射されたものであったとしても、ロシア側にも狙いがあるのではないかという高橋さんの見立てです。高橋さんによると「ロシア側は意図的に国境付近にミサイルを撃ち、迎撃ミスなどでポーランド内にミサイルが落ちる状況を作り出したのではないか」としていて、ある意味で誘うような形を作った可能性もあるそうなのです。今後も国境付近を狙う可能性があって、高橋さんは「ウクライナは迎撃ミスを繰り返せないため迎撃しづらくなるだろう」と述べています。