本日の賢者は、マインクラフト教育の第一人者、タツナミシュウイチ氏。マインクラフトは2009年にスウェーデンで開発されたブロックを使って自由に世界を構築するゲームで、全世界でユーザー数が3億人を超え、史上最も売れたゲームとしてギネス世界記録にも認定されており、現在もユーザー数は増え続けています。

ボックスを組み合わせることで自由に何かを作れる、まさに砂遊びのような「サンドボックスゲーム」と呼ばれるマインクラフト。タツナミさんは自治体と協力してマインクラフトを活用した新たな学びの形をデザインしたり、JAXA宇宙研究開発機構と連携して月や宇宙について遊びながら学べるゲームを開発したり、さらに、デジタルデザインや課題解決型学習のワークショップを全国で展開しています。

タツナミさんがSDGsの視点から2030年を見据えた新たな価値観と生き方のヒントを語ります。

ゲームの持つ力は娯楽にとどまらない

――この番組では、ゲストの方に「私のStyle2030」と題し、SDGs17の目標の中からテーマを選んでいただいております。タツナミさん、まずは何番でしょうか。

タツナミシュウイチ氏:
4番の「質の高い教育をみんなに」です。

――大学でも教えてらっしゃいますね。では、タツナミさんが選んだSDGs4番「質の高い教育をみんなに」の実現に向けた提言をお願いします。

タツナミシュウイチ氏:
ゲームは、探究心を引き出す最高の道具です。

――ゲームというと、「ゲームばかりやってないで勉強しなさい」と言われがちでしたが、ゲームが持つ力は変わってきたということですか。

タツナミシュウイチ氏: 
現在、さまざまな種類のゲームがありますが、娯楽にとどまらないものが確実に増えています。その一つがマインクラフトです。私自身、子どもの頃から物を作ることが好きだったので、大人になってからマインクラフトにはまりました。

マインクラフト×教育の可能性

――勉強とは対極だと思っていましたが、ゲームが教育に繋がるということですか。

タツナミシュウイチ氏:
間違いなく繋がります。マインクラフトをツールとして使うことで、子どもたちの学びに繋がるツールとして活用できると確信しています。

私は15年間マインクラフトをプレイしています。2009年にストックホルムで生まれ、世界中に広がりました。ネットでマインクラフトを知り、面白そうだと感じ、家族と一緒に始めました。やっていくうちに、これは無限にできるブロック遊びだと気づきました。 私自身、レゴブロックが大好きでした。高くて買ってもらえなかったのですが、児童館で毎日組み立てていました。その中で物を作る楽しさや、建物がどうやってできているのかを子どもながらに学びました。大人になってマインクラフトに出会い、子どもの頃の思い出がフラッシュバックしました。ただブロックを積んで遊ぶだけでなく、教育とリンクする可能性を感じました。

――今、マインクラフトを知らない人は遅れていると言えますね。3億人ものユーザーがいますから。

タツナミシュウイチ氏:
子どもたちはよく知っています。動画サイトでゲームプレイ動画を見ているので、若い世代のほとんどがマインクラフトをプレイしています。プレイヤーの皆さんは見て知っている、あるいは自分でやって知っているという方たちが、この15年間で急速に増えました。逆に歴史が15年しかないので、大人が知らないのは自然なこと。安心してもらっていい。

――では、実際にパソコンを使ってお話を進めましょう。

タツナミシュウイチ氏:
マインクラフトは元々パソコンでプレイするゲームとして生まれました。操作は基本的にキーボードとマウスを使います。

マインクラフトは、パソコンのキーボードやマウスを使って土を掘ったり、ブロックを積み上げたり、移動したりすることができます。何もない世界に自由に建物や街を作ることができるゲームです。

タツナミさんには家を建ててもらった。

――早いですね。外から作るのですね。

タツナミシュウイチ氏:
そうです。まず外から作ります。本当は整地してから作るのが理想です。物を立てていくのが好きな人もいます。ガラス窓、これはガラスです。このブロック1個ずつの大きさは一辺1mと決まっています。人間と比べると、身長が大体2ブロック分になります。 さて、この1mのブロックをたくさん積み上げて、こんな感じで家を作っていきます。

――これだけで家ができるのですね。

タツナミシュウイチ氏:
そうです。素材が1mと決まっているので、実際の建物と同じ寸法で作り上げることもできます。設計図を引くことで、同じ大きさの建築物を造ることも可能です。階段ブロックを使うことで、屋根の代わりにすることもできます。 大人なのでサクサクやっているように見えますが、慣れている子どもたちもこの速さで作ります。好きに遊んでいいのが、マインクラフトです。 ボックスを組み合わせることによって何かを作れる、まさに砂場という意味で、マインクラフトのようなゲームは「サンドボックスゲーム」と呼ばれています。

自由に何をしてもいいという世界がマインクラフトのワールドです。大人が砂遊びをしようと思っても上手くできないですが、子どもは好き放題します。デジタルの世界でも同じ現象が起こっている。