勢いの3か月→失速の2か月

さて、トランプ第二次政権の半年を振り返ってみる。大統領令を乱発してロケットスタートを切ったトランプ政権だったが、4月頃からは明らかに失速を始めた。象徴的だったのは関税政策をめぐるドタバタだ。

「解放の日」と称して世界各国に相互関税を突きつけたが、マーケットが大きく動揺したことを受けて発動を一時凍結。中国に対しては145%という関税を課したものの、レアアースの出荷を止められる事態に直面し、あわてて対話再開の道を探った。すぐにマーケットでは「トランプは必ずビビッてやめる」という意味の「TACO」(Trump Always Chickens Out.)という言葉が飛び交うようになった。

関税交渉では「90日間で90か国と交渉してディールを成立させる」と意気込んでいたものの、実際に合意が発表されたのは貿易交渉が元々行われていたイギリスだけ。トランプ大統領は「ベトナムとも合意した」と発表したが、後述するようにその真偽ははっきりしていない。赤沢経済再生担当大臣が何度もワシントンを訪れて閣僚交渉を重ねた日本も妥結を見ずに今に至っている。

「大きな進展!」と投稿したが…(4月17日 ホワイトハウスのXより)

失速は外交面でも明らかになった。ウクライナ情勢の仲介は手詰まりとなり、ロシアのプーチン大統領に対して示す不満は次第に怒りに変わっていった。大統領当選後には「大統領に就任したら1日で解決する」と豪語し、就任後も「6か月以内に解決できるか?」と記者に問われて「それよりもずっと早く片づける」と自信を見せていたが、就任半年を前に事態が和平に向けて動き出す気配は見られない。

イランの核問題をめぐる交渉についても、5月頃には「大きな進展があった」「合意が近い」とトランプ氏は前向きな発言を繰り返した。しかし、言葉だけが先行して実態は伴っていなかった。

6月14日のトランプ氏の誕生日にはワシントンで陸軍創設250年を記念する軍事パレードが行われたが、トランプ氏が終始疲れた表情を見せていたのが印象的だった。

軍事パレードを見下ろすトランプ大統領(6月14日・TBS NEWS DIGより)