ロシア軍によるウクライナへの無差別攻撃はすでに一か月以上続き、街の破壊、人道危機が深刻化している。ウクライナでの惨劇をロシア国民はどうみているのか、取材した。
■「女性は6歳の子どもの前でレイプされました」ロシアから奪還した街“トロスティアネッツ”の惨状
3月28日、ウクライナ軍を支援するNGO「Come Back Alive」がSNSで動画を公開した。
ウクライナ軍の兵士
「ウクライナ・トロスティアネッツの街にはロシア軍が侵攻しましたが、我々と現地のゲリラ部隊が撃退しました」
ロシア軍に占領されていた北東部の街・トロスティアネッツをウクライナ軍が奪還したことを称えている。トロスティアネッツは、約1か月もの間激しい攻撃にさらされ、街並みは荒廃していた。多くの瓦礫が積みあがり、ロシア軍が使ったとみられる戦車や砲弾の残骸が至るところに残されている。この街はロシアの作曲家・チャイコフスキーがかつて“故郷”と呼んだ場所だが、青年期を過ごしたといわれる家も被害を受けた。
地元選出の国会議員のミハイロ・アナンチェンコ氏は「ロシア軍が占領下で数々の残虐行為を行っていた」と強調する。
アナンチェンコ氏
「ロシア軍は一般市民をいじめたり、住民の人権を考えず外出禁止令を出したり、物を盗んだりしていました。酔ったロシア兵が、民家に向かって射撃することもありました」
アナンチェンコ氏によると、路上にはロシア兵が吸ったとみられる煙草や脱ぎ捨てられた軍服が放置され、スーパーでは棚から食料品が持ち去られたという。
アナンチェンコ氏
「祖父と暮らしていた女性がいたんですが、祖父が殺され、女性は6歳の子どもの前でレイプされました。大人をロープで縛って、子どもをレイプしたケースもありました、隣人などから聞いた話をもとに調査していて、今後戦争犯罪として訴える予定です」
ロシア軍は、首都・キーウ近郊から徐々に撤退しつつあるという。アメリカの『戦争研究所』は、「ロシアはキーウの包囲や占拠を断念した」と分析した。しかし、ロシア国内では、全く異なる戦況が報じられていた。