いよいよ7月3日に公示となる参議院選挙。news23では7月1日、党首討論を行いました。
番組では、▼5人以上の国会議員が所属し、▼直近の衆・参いずれかの国政選挙での得票率が2%以上の8党を招き、「給付か減税か?」「コメの適正な値段は?」などについて党首に聞きました。(全3本のうちの後編。「news23」7月1日の放送より)
各党の考える「コメの適正価格」
小川彩佳キャスター:
選挙で争点となる物価高対策ですが、国民の関心が高いのがコメの価格です。
藤森祥平キャスター:
30日に公表されたスーパーでの平均販売価格5キロ当たり3801円(6月16日~22日)ですが、5週連続の値下がりになりました。ただ、去年の同じ時期に比べて1.7倍です。
みなさん、コメの適正価格はいくらくらいだとお考えですか。一番安いのは山本代表の2000円ですね。
●自民 生産・消費者納得の価格
●公明 3000円台
●立憲 市場
●維新 市場
●国民 3500円程度
●共産 再生産可能な価格
●れいわ 2000円
●参政 4000円
れいわ新選組 山本太郎代表:
これは過去10年間の平均価格ですね。もちろんこれは消費者が手に入れるという価格です。ブランド米とかいろいろありますけど、それは別です。生産者が「これぐらい儲けないと無理だ」っていう値段もありますから、その間は国がちゃんとお金を出すべきですね。
小川彩佳キャスター:
参政党の神谷代表は4000円ですか。
参政党 神谷宗幣代表:
これ10年ぐらいで倍ぐらいになりましたというグラフ。30年で見ると昔はもっとコメは高かったんですよね。どんどん生産者の所得を落として、コメを安く供給してきたというところがあるので、やはり本来はこれぐらいであるべきだと思います。
ただ、今の物価で言うと高いので、差額分はおコメクーポンとかで補助してあげることは必要だと思いますが、生産者を守るという視点をしっかり持たないと、農業をやる人がいなくなってしまっては、コメが安くなっても全部外国米になったら意味がないので、国内の農業を守るためには一定の価格は維持するべきだという考えです。
小川彩佳キャスター:
山本代表はいかがですか。
れいわ新選組 山本太郎代表:
もちろんです。先ほど言った通り、消費者が買う値段はこれ(2000円)ぐらい。これは過去10年の平均です。
一方で生産者のことを見るならば当然再生産できる、しかも儲かるってことにならなきゃならないんですよ。例えばですが、アメリカは農務省の予算の7割使ってますよね。クーポンを配ってるんですよね、所得の少ない人たちに。大体20兆円を超えます。そういうことで、生産者を支えていくということは絶対的に必要だと思ってます。
藤森祥平キャスター:
石破総裁、「生産者も消費者も納得する価格」とはズバリいくらなのか、ここを今、有権者は知りたいところなのかなと。
自民党 石破茂総裁:
それはいくらってことは言えません。今3000円台ということを申し上げて、実際に先ほどあるような、8800飛んで1億、そこにはなっています。
だけども、これから先どうやってコストを下げていくかという努力がどこまでできるかということです。
コメというのは、価格弾力性がちっちゃいって言いますけれども、少しの供給の振れで価格がものすごく振れる商品なんです。ですから、ある程度余裕を持って作っておく。だからきょう、増産ということを申し上げました。
そして、消費者の方々が「これならいいな」と、ものすごく高いコメを好む方もいらっしゃるでしょうが、普通の方々が「これならいいよね」って言ってくださるコメ、そしてコストダウン、そのための接点がいくらかは、これからきちんと計算をしてみなければわかりません。
ですけども、1年で2倍になっちゃったと、どう考えてもおかしいんだが、それは先ほど言ったように、コメなんていう商品は少し供給が増えれば、ガーンと下がる。減ればドンと下がる、そういう商品なんです。
だから余裕を持って作っていく。そうするとやはり3000円台ということになりますが、そこにおいて、消費者の方、国民の方々が納得していただくような、直接支払いということであるならば、どのような農地を守るというような行為、コストダウンした努力、そういうものに対して国民が税金でお支払いできるかというのは説得しなきゃわかりません。
小川彩佳キャスター:
なるべく簡潔にお答えいただけたらありがたいんですけれども…
自民党 石破茂総裁:
そんな簡単な話じゃないんですよ。
小川彩佳キャスター:
きょう、コメの増産をまさに表明されましたが、これまでの自民党としては「コメは足りている」というスタンスで、森山幹事長も以前このスタジオで「コメは足りている」とはっきりおっしゃっていたのですが、このスタンスは変わらないのでしょうか。
自民党 石破茂総裁:
私は、ギリギリの綱渡りをやってきたというね、特に最近は。やはりこれだけ世界がコメを増産している中にあって、今どんどんと農地は減ってるわけです。耕作やめる方が増えてるわけです。
コメが十分足りているかといえばそうではなくて、ギリギリのところで消費者の方々に行き渡るようにやってきたということです。幹事長がおっしゃっておるのはそういうことだと思います。
藤森祥平キャスター:
玉木代表はいかがですか。
国民民主党 玉木雄一郎代表:
今の制度と今の銘柄米っていうことを考えると5キロ3500円ぐらいは必要だと思います。ただ、石破総理にも申し上げたんですが、生産調整や、よってもって価格のコントロールからそろそろ国は手を引いて、価格は基本的にマーケットで決まる。
でもそれだと好きに作れるようになりますから値段が下がるので、コストを賄うだけの売値が確保できないということで、その差額を直接政策で、直接支払いで支えていく。
要は、価格政策から所得政策に大きく農政、特にコメ政策を転換することが、消費者のみなさんには適切な値段で、一方で農家のみなさんは安心して営農継続できる所得が保証される。この両方を成り立たせるのは、やはり新たな直接支払い制度を導入するしかないと思うので、ここはぜひ石破総裁に舵を切ってもらいたい。
一つ質問なのは、さっき「今年から、令和7年産から増産」とおっしゃったんですが、大体田植えは終わっているので、どうやって今年産から増産するんですか。
自民党 石破茂総裁:
今年、実際に作付面積は増えています。結果として、コメの収量は上がるけれど、単に収量だけではなくて、そこにおいて品質の良いおコメがどれだけ取れたかと、単なる量ではなくて、一等米がどれだけ取れましたかということを見ていかなければなりません。
これから天候にもよりますが、農家がどれだけいいおコメを作っていただけるかということによります。7年産米は、量は増えるけども、そこにおいていいおコメがきちんと確保されるということはこれから先の天候にも左右されることです。
国民民主党 玉木雄一郎代表:
でも、備蓄米ゼロですよ。どうやって増産するんですか。
日本維新の会 吉村洋文代表:
昨年の8月におコメが棚から消えるということがありました。その時、僕は大阪府知事としてコメを計算しました。コメは足りてないと判断しました。コメ不足です。シンプルに。
なので私は政府に対して「備蓄米を放出すべきだ」と昨年の夏に言いました。しかし、政府はそこは完全に無視をしました。その理由は、備蓄米を放出してコメの値段が下がったら困るということなんです。
要はコメの価格を、政府は一生懸命これまでコントロールしようとしてきたわけです。でもそれは失敗してるんです。需要と供給を把握できていません。そして、この価格を官製でコントロールするべきではありませんし、コントロールできません。
そう考えたときに、コメは事実上の減反政策を今までやってきたんですが、それはもうやめるべきです。生産抑制から生産強化に変えていくべき。そして日本のおコメは美味しいですから、美味しいおコメはそれなりの評価・価格で販売することを認めないと、官製で、永田町で値段決めるんではなくてきちんと美味しいものは高く売らないと、売れることにしないと、農家さんの所得も増えないですよ。
だから販路拡大して外国にも売ったらいいんですよ。外国に輸出して、そして、もし日本の安全保障上必要だと思ったら輸出を止めればいいわけで、輸出してる間はある意味、“儲かる備蓄”ができているということになりますから、生産抑制から生産強化をやるべきだというふうに思います。
事実上の減反政策はやめるべきだし、「価格をこれぐらい」だというのを永田町や農水省が机の上で決めるのはやめるべきです。
海外のおコメでも実は結構美味しいおコメもあったりもするので、それを一定の制限があったとしても輸入をして、買い手の方にいろんな選択肢があるべきだと僕は思います。
官製コントロールをしたら、農家の所得はいつまでたっても絶対増えないし、基本は市場で決めていくことが僕は本筋だと思います。
小川彩佳キャスター:
外国からの緊急輸入ということも含めて、田村代表はいかがですか。
共産党 田村智子委員長:
コメの価格で一番問われているのは、私が(1)って書いたのは、コメ農家に対する支払いをどうするのかということだと思うんですよ。この20年間ぐらい、大体60キロ当たり1万5000円ぐらいなんです。ひどいときは1万2000円にまでなったんですよ。これで「もうコメ作って飯食えねえ」っていう声がワーッと広がって、この2000年以降コメ農家は3分の1にまで激減をしている。今も主な担い手はもう70歳以上という状況ですから、増産してもらうにはどうするかと。
これ「再生産可能」と書いたんですが、どんなことがあっても価格の暴落を絶対にさせないと、どんなことがあっても、60キロ2万数千円を保障するという制度を作るべきだと思うんです。
加えて主食ですから、ちゃんと消費者が買えないといけない。そのために、価格補償・所得補償という制度をヨーロッパなどを見習って、勉強してやっていくべきだと思いますね。
ヨーロッパは大規模化だけを支援してるんじゃないんですよ。むしろ大規模だけの支援が厚かったということで、小規模のところの支援を厚くしたり、あるいは2つ柱があって、2つ目の柱の気候変動対策であるとか、中間山間地域への支援であるとか、景観保全であるとか、有機栽培、有機っていうのは収穫量が落ちますから、こういうところへの直接支払いを強めてるんですよ。こういうところを見習って、まさに直接支払制度、所得保障を確保するということをやっていくべきだと考えます。
藤森祥平キャスター:
公明党・斉藤代表は3000円台前半ですか。
公明党 斉藤鉄夫代表:
これから物価が上がってくれば、当然これは上昇すべきものだと思いますが、基本的には食べる側、そして作る側、両方が納得する値段に落ち着くべきということです。これはもうみなさんがおっしゃっていることと同じです。
そのときに大切なのは、全国、それぞれ農業の、コメ作りの事情が違うということです。大きく言えば、比較的大きな田んぼがある東日本と中山間地域の地域の小さな田んぼしかない西日本とでは別な政策があるべきですし、特に中山間地域では今、耕作放棄地が増えていて、大変自然が荒れてきています。それはいわゆる森林の荒れにも繋がっています。
そういう意味では、いわゆる農業が持つ自然保全をするという機能に着目した、そこで働く人たち、作っていただく人たちの収入を保障する、そういうシステムを一緒に考えていかなければいけないと思います。
立憲民主党 野田佳彦代表:
定性的な表現で「価格は市場で」そして「所得は政策で」と書かせていただきましたが、具体的に大事なのは、今は去年の倍ぐらいコメが高くなってる分、必死に消費者のサイドに立って、コメの値段を下げようとされてますね。これは一つの努力の姿だと思います。
一方で、忘れちゃいけないのは、消費者のコメ離れも心配ですが、コメ農家の離農も心配なんです。だとすると、生業として維持するためにはどうしたらいいかという、この政策のパッケージで出さなければいけないと思ってまして、われわれはかつて農業者の戸別所得補償制度を導入したときに、各地方で評価をしていただきました。
今回は農地に着目をした直接支払制度ということで、農地を維持することによって、それに対して直接支払いをすると。例えば、田んぼを維持しているならば、これ10アール当たり2万3000円、畑地の場合だったら、10アール当たり1万5000円など、総計で8000億円ぐらいかかりますが、加えて中山間地への配慮等と加えて、直接支払制度を同時に導入していかないといけないと思います。バランスの取れた農政にすべきだと思います。
自民党 石破茂総裁:
私が13年前だったかな、農林水産大臣やってたときに「生産調整を見直そう」ということを言っても、どこも賛成してくれなかったんですよ。
いかにしてコストを下げていくかということを考えていかなければならない。どうやって「もうコメを作るのやめた」という人を減らしていくか。コメの価格を高く維持してきた、その限界はもう当時からきていたと思っています。
これは増産の方向に舵を切るが、でもコストを下げるという努力はしていかなければならない。コストを下げて、所得が減ったならば、その努力に対してはきちんとしたお支払いをしなきゃいかんでしょう。
あるいは私の選挙区なんかそうだけど、中山間地の棚田、そんなとこは田んぼダムですよ。どうやって水をそこで貯めるか、水害を防ぐかということに対して支払いが要るでしょう。景観の保全にも要るでしょう。
そういう細かいことをやることによって所得を保障するならば、基盤整備の予算は減らしちゃいけなかったと私は思っています。
そして、何に対してお金を支払うのかということを、納税者の方々にもご納得いただく。だから消費者も生産者も納得する価格というのは、こんなものは短い時間の議論でできるはずはないんだから。みんなきちんと議論を積み重ねてきたものであって、思いはそんなに違わないと思いますよ。