選挙戦で掲げた「チェンジ」が結局「まやかし」と映り、有権者の期待を裏切った—。29日行われた高岡市長選挙で、1期目の現職・角田悠紀氏が新人の出町譲氏に1万6000票以上の大差で敗れました。「高岡を変える」というスローガンを掲げた出町氏が4万3000票以上を獲得し、初当選を果たしたのです。選挙の調査研究を長年続けている河村和徳教授に聞きます。

「チェンジ」は誰のもの?期待から失望へ

「どんなことがあってもくじけず前を向いて戦って変えていきたい。チェンジしたい。高岡を変える。その宣言をしたいと思っております」

出町氏は選挙戦を通じて「チェンジ」を合言葉に草の根選挙を展開しました。一方、自民党・公明党が推薦した現職の角田陣営は、選挙結果に落胆の表情を隠せません。

「私ではないという選択をしっかりと重く受け止めております。本当に4年間ありがとうございました」と角田氏は敗戦の弁を述べました。

なぜ角田市政は市民から見放されたのでしょうか。選挙の調査研究を長年続けている河村和徳教授は、大規模災害があった地域での選挙結果に着目します。

「実は地震や台風などで大規模災害があったところの被災地で行われた選挙では、被災地に寄り添っている姿勢を見せられなかった現職は大体負けているんですよね」

しかし河村教授によれば、敗因はそれだけではありません。

「角田さんは前回の選挙の時に『チェンジ』を言ったわけですけれども、そのチェンジがまやかしだったんじゃないかと思われてしまったところに敗因があると思うんです」

期待を背負った若き市長の「変身」が市民の失望を招いたー。

「前回の選挙で角田氏が評価されたのは『しがらみのない』『若い』という点でした。市民は『変えてくれるんじゃないか』という期待を抱いて投票したのです。しかし今回の選挙では、角田氏の後ろには自民党議員が並び『あれ?変わってないんじゃないか』という印象を市民に与えてしまいました」

河村教授は分析します。

「市長の角田さんの立場からすると『そうではない』と言うかもしれませんけれども、取り込まれてしまったんではないかと見られた段階で、やはり票が逃げていった。その辺りがポイントだったのかな」

角田陣営は敗因について「角田市政への市民の評価」と「選挙活動の出遅れ」を挙げています。自民党高岡市連にとっては、前回の選挙に続き、支援候補の落選となります。山本徹・選対統括責任者は次のように語りました。

「自民党がくっついたから負けたんだということだとすれば、自民党がやっぱりちょっと考えないといけないことがあるかもしれない。でも今回自民党は角田市長の4年間の実績を評価して推薦をすることに決めました。だけれど、その市長の4年間の実績に市民が『それよりも新しいものを望む』という答えを出した。だとすれば、それは自民党は間違ったのかもしれない」