
■2022年 住宅ローン減税の変更点
駒田健吾キャスター:2022年度の税金の詳細をまとめた「税制改正大綱」で特に注目されている住宅ローン減税。具体的な変更点としては、一年間に支払う所得税などから特定の金額を差し引く「控除」が変わります。
▼年末のローン残高の1%としていた控除率を0.7%に引き下げる。
▼残高の上限を4000万円から3000万円へ引き下げる。
▼控除が受けられる期間を「新築・中古ともに10年」から新築は13年間、中古は10年間とする。
これだけ見ると「制度が“改悪”されるのでは」と思ってしまいますが、いかがでしょうか。
LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山登志朗さん:
“改悪”という言葉はちょっと言い過ぎかなと思いますが、減税の規模が縮小されるのは間違いありません。2021年度も新築は消費増税、コロナ対策の特例として、新築13年の住宅ローン控除が適用されていますが、2022年度からは特例なしで13年、中古が10年になると3年の差がついてしまいます。
これは新築と中古どっちを買うか考えるときに大きな判断材料になりますし、年間の最大の控除額も半額ぐらいになってしまうので決して小さくないです。
ただ、制度が縮小されるとはいえ、「住宅を購入すると自分の所得税・住民税などから税金を控除してもらえる制度が残っている」と考えた方が気楽で良いと思います。
大和証券シニアエコノミスト末廣徹さん:
マーケットメカニズムを考えると、こういう補助制度っていうのは住宅価格にも織り込まれて、住宅価格はその分上がっている部分はあると思います。
なので、いきなり補助をゼロにすると住宅価格が一気に下がってしまうということになるので、少しずつ縮小していくだろうなという方向性が見えた内容かと思います。
また、ローン残高の上限を小さくしたのは非常に岸田政権らしいと思っていて、要するに住宅ローンの残高が大きい人は裕福な人が多いわけですから、そこの制度を変えることで「格差の是正」へ配慮したように見えます。
■住宅性能で残高上限が変わる
駒田キャスター:
ローン残高の上限という話が出ていますが、
▼省エネ基準適合住宅なら4000万円
▼ZEH住宅(ネットゼロエネルギーハウス)は4500万円
に上限が増えるという制度も整備されました。このZEH住宅というのは何ですか?
LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山さん:
簡単に言うと、住宅は生活していれば当然エネルギーを消費して二酸化炭素などを排出しますが、ZEH住宅は逆にエネルギーを生産したり吸収したりする仕組みを持っているもののことです。そういう性能を持っている住宅については、カーボンニュートラルの観点からも優遇しましょうということで今回の税制改正大綱に織り込まれたということです。
また、省エネ基準適合住宅というのは断熱性が高いとか、住宅におけるエネルギー消費を抑えてあるような仕組みの住宅のことです。
駒田キャスター:
国交省の調査によると、2019年度の新築住宅のうち約80%が省エネ基準適合住宅ということで、これだと控除額は総額364万円です。この金額を見ると激減という感じはしませんね。
LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山さん:
そうですね。控除率が1%から0.7%に縮小されるということだけに囚われず、1回立ち止まって考えていただいて、家族が幸せに暮らせるものなのかというところを考えた上で住宅選択をしていただきたいなと思います。