■2022年には参院選 選挙後に政策が激変も?
大和証券シニアエコノミスト末廣さん:このように実際は骨抜きな制度改変というのは、2022年夏の参院選を意識してのものなのではないかと思うのですが、選挙のあと、次の税制改正大綱で急に政権のスタンスが変わる可能性はあるんでしょうか?
LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山さん:
住宅産業というのは日本国内の製造業として非常に裾野の広い産業でもあるので、ここに大きなダメージを加えてしまうと日本の経済成長そのものにかなりブレーキをかけてしまうということになりかねません。
これ以上大幅な大手術・・・例えば「住宅減税を廃止」とか「ローン残高の上限を2000万にする」とか、検討の余地は当然あるにしても、そういうことをすると日本の景気は大打撃を受けてしまいます。
コロナ禍から復帰して経済成長をしていかなきゃいけない中で、住宅政策っていうのは非常に重要な柱の1つですから、これ以上のテコ入れはなかなか難しいんじゃないかなというのが私の思っているところです。
大和証券シニアエコノミスト末廣さん:
たしかに岸田政権では「自社株買いを規制する」とか証券系に関して厳しい発言はありますが、住宅ではあまりそういう発言はありませんね。
駒田キャスター:
税の話になるときにやはり政治の話って切り離せないものですね。中山さんから「国は国民に住宅を買ってもらって、そこに付随する税金を払い続けてもらいたい」という話を聞いて目からウロコだったんですけど、今回もそういうことが言えるわけですね。
LIFULL HOME’S 総研 副所長 中山さん:
結局、入り口のハードルを下げて住宅を買ってもらえさえすればその住宅を保有している期間ずっと税金を払ってもらえるという意味で言うと「損して得取れ」みたいな発想が実は国にはあるんです。
基本的にはやっぱり住宅政策をいかに国策の1つとして維持していくのかというのは、岸田政権においても非常に重要なポイントだと思います。
あわせてZEH住宅と省エネ基準適合住宅にローン残高の差をつけようというのは、やはりカーボンニュートラルを2050年に達成するための第一歩という意味では、ちゃんと先鞭をつけたぞというところを政権としてきちんとアピールしておきたいということもあったんじゃないかなと思います。
(「不動産の話で困ったときに見るやつ」より抜粋・編集)