「沖縄慰霊の日」戦没者約24万人の名前を掲載
高柳光希キャスター:
「沖縄慰霊の日」である23日に向けて、沖縄タイムスが、24万2567人の戦没者の名前を1日4ページ、13日間であわせて52ページにわたり掲載しました。
記事の元となったのが、激戦地・糸満市の“平和の礎”です。“平和の礎”には、戦没者約24万人の名前が書かれているということです。
企画に携わった沖縄タイムス編集局社会部の粟国部長は、「平和の礎に足を運べない人にも見てほしかった。すべて揃ったときに、月桃の花で鎮魂の意を表したかった」としています。
「月桃の花」とは、沖縄で今の時期に咲き誇っているもので、52ページを繋ぎ合わせると、見ることができます。さらに、沖縄では平和の願いを込めて「月桃の花」という歌が、今も歌い続けられているということです。
「私たちができることを考える」“脱匿名化”の意義
井上貴博キャスター:
ニュース番組では規模の大きさや戦争の悲惨さを、“人数の多さ”などでお伝えすることが多い印象ですが、こうした取り組みで、一人ひとりの体温のようなものまで表現するのは、とても重要だと感じました。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
4万人と40万人では全然違いますから、人数を公表し、事実として示すのは重要です。
一方で、一人ひとりのお名前を私たちが知るというのは、心理的には“脱匿名化”と表現し、「匿名化しない」という意味で、数で“簡単に”あらわさないということです。
一人ひとりのお名前を見るだけで、「私たちと同じように生きてきた人間が、当たり前の日常を失われたんだ」とすごく感じることができます。
それによって、共感だけではなく責任も感じるようになり、「私たちがきょうからできることは何だろう」と思えるようになる。“脱匿名化”はすごく意義があることだと思います。
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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰