「一切話さなかった…」秘められた父の沖縄戦

探し続けた命の恩人が入江昌治さんだと、地元の歴史家らが特定したのは3年前のことでした。

昌治さんの娘・明美さん。昌治さんは、海岸での出来事について、家族にすら話したことはありませんでした。

喜納明美さん
「スパイ視されたら困るので。親戚みんなに迷惑をかけると困るので。人を救ったとかそういったことは一切話さなかったんじゃないですかね」

当時、一部の日本兵はアメリカ軍とともに投降を呼びかけた日本人やその家族をスパイとみなし、虐殺。

父・昌治さんもスパイだと見なされることを恐れたのではないかと明美さんは考えています。

聞けなかった父の記憶をたどりたい…。今月、明美さんは父・昌治さんが投降を呼びかけたとされる海岸へ。

喜納明美さん
「初めてです」

80年前、この海の上から父親が救ったという命。

喜納明美さん
「もやもやとした、いろんな寂しい思いがいっぱいあっただろうと思います。パパが人助けをしたってことを紹介できる機会があるから、これからも平和な世の中が続くと思うから安心して休んでくださいと言いたい」

戦後80年、知られざる沖縄戦の歴史に遺族が向き合い始めています。