「ネット投票」をご存じでしょうか?投票所に行かなくてもスマホなどで家で簡単に投票ができる仕組みで、「コロナ禍で外出が不安」「若者の低い投票率」など様々な課題にも対応できるのではと注目されています。

しかし、導入への議論は長く続けられ、デジタル技術も進んできたにもかかわらず、この制度は未だに導入されていません。有権者にとっては休日を潰さずに数秒で投票ができたら便利に感じる人は多いはず。ネット投票の検討を進めている衆議院議員の牧原秀樹さんに“障壁”となっていることを聞きました。

■ネット投票を導入したら若者の投票率は上がる?

ーー牧原さんは「ネット投票」を推進する立場ですね。なぜですか?

日本の民主主義、若者の投票率の低さに危機感を持っているからです。“現実には投票率が上がるかどうかわからない”という反対論は結構ありますが、大学生や若い人と意見交換をさせていただいていると、やっぱりネット投票が導入されれば若い人はかなり投票するんじゃないかなと感じています。民主主義の根幹的な価値って、一人ひとりが全員一票持っているってことなんですね。ですから18歳になったばかりの高校3年生も、総理大臣も、投票の重みという意味では同じ一票なんです。それが独裁政治との一番の違いなわけです。その根幹的な価値が、投票率が下がれば下がるほど一部の人たちの決定で一部の人が選ばれ、そしてその人たちが決めるということになっていくので、これやっぱり民主主義が崩れていく最大の危険性の原因になっちゃうと思うんで。

■ネットで候補者を確認 クリックして投票終わり


ーー具体的にどれぐらい簡単に投票できるようになるんですか?

例えばマイナンバーカードに事前に通知が来て、その人だけが知る番号が与えられて、マイナポータルみたいなところに行って、そうすると「衆議院選挙」というのが出てきて、クリックすると住まいのところの候補者が出てきて、投票したい人をクリックして投票が終わる、みたいなイメージですよね。

ーー簡単でいいですね。どのくらい現実的な議論になっているのですか?

総務省は、海外で投票する在外投票にネット選挙を導入できないかという検討をしています。在外投票は近くの大使館や領事館に行って、投票券をもらったりそこで投票したりしなきゃいけない。そうすると、大使館がものすごく遠いとなると、投票率が非常に低くなってしまう。なので、その人たちにネット投票を導入すれば、ということで、まず実験的に投票する人数の少ない在外投票でやってみるというのが、ちょっと進んでいることではあるんですね。

ーー集計も楽になりそうですね。

もし本当にネット投票だけにすることができたら、メリットとなるであろう大きなポイントは、立ち合いや開票手続きをお願いしている人たちがいらなくなるということです。今投票日ってものすごい数の人をお願いしていて、そこにすごくお金を使っているんです。データがセンターにバーッと集まってきて、パッと何票何票って出てきちゃうわけだから、すごくお金も浮くし時間も浮くし、労力も浮きます。