コメの価格はどうなる?…備蓄米を作っていた生産者は
物価と消費者ニーズに敏感なバイヤーや、県内の生産者は備蓄米の放出をどう受け止めているのでしょうか。大黒天物産の森安さんは、北陸地方のコメのニーズについて以下のように分析します。
大黒天物産 森安真人 バイヤー
「報道でも今ある銘柄米が値下がりと出ているけれども、すぐに今店頭に並んでいるものがどんどん値下がりしていくという実感はすぐにはない」「特に北陸は米どころでもあるので石川県産米が良い、富山県産米が良い、銘柄米が良いと思われる人が一定数いると思うので自然と差別化されていく」

石川県小松市でコメを作る西野満治さん。自身が保有する21ヘクタールのうち、およそ13パーセントにあたる2・7ヘクタールの水田で、去年まで「備蓄米」を作っていました。
品種は、県産の早生品種・ゆめみづほ。

西野ファーム 西野満治さん
「備蓄米というのは減反分の中の1つ。それを主食に代わって作ることによって減らしたのと同じ風にみなしますよ、と」
備蓄米は、主食米以外に分類され、入札を経て、政府が買い取る仕組みとなっています。また、麦や大豆など主食用のコメ以外の作物を生産する農家に国から交付金が支払われます。これらは主食米以外の生産を推奨する「事実上の減反政策」だという指摘もあります。コメ農家の競争力を高めるため2018年に減反政策は終了したはずですが。
西野ファーム 西野満治さん
「補助金を出すということは(主食米を)減らすことを奨励しているということだと思う。(例えば)他の人は10トン取れているのになんで同じ面積で8トンしか取れないの?と。2トン市場に売ったんじゃないかという話になるので、そういうことがないように全部こうきちっと管理されている」

備蓄米の生産では、国や自治体が定める面積当たりの「コメの生産目標」を守る必要があります。西野さんは、今年の作付けで交付金が出る作物を作る面積を1・5ヘクタールまで減らしたうえ、備蓄米も作っていません。その理由は。
西野ファーム 西野満治さん
「今年は最初から備蓄米を作る気はなかった。主食米の方が価格が高いので、経営判断として。(備蓄米放出では)たぶん銘柄米は下がらないと思います、一時的なものかなって。コメが足りんの?ってよく聞かれるけど普通に取れとるし」
収束の兆しを見せない“令和の米騒動”ですが、西野さんはコメの生産コストにも目を向けてほしいと話します。
西野ファーム 西野満治さん
「農機具が年に3回くらい値上がりしたり、田植えの時期だけで軽油何千リットル使っているけど油が上がっていたりとか…正直僕らはそんな儲かっているつもりはない。自分で価格は決めれないので決める人に決めてもらうしかない」