「スクープ力」が売りのしんぶん赤旗 満塁「弾」は使わない“独自ルール”と読者数減

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は、日刊紙と日曜版を合わせて読者数約85万を誇る。記者数は約300人と、公明新聞の3倍の数だ。記者になるための条件に「共産党員であること」とあり、記者は全員共産党員ということになる。

しんぶん赤旗の大きな特徴は、その「文体」にある。一般紙が「だ・である調」を基本とするのに対し、赤旗の記事は「です・ます調」で書かれている。また、米・ワシントンなど海外にも記者を駐在させており、国際ニュースの独自取材にも力を入れている。

しんぶん赤旗のもう一つの特徴は「スクープ力」だ。桜を見る会問題や自民党のパーティー券をめぐる裏金問題などを先駆けて報じ、政治を大きく動かしてきた実績を持つ。これらの調査報道は、資料を徹底的に読み込む少数の記者チームによって支えられている。日本ジャーナリスト会議の賞も受賞するなど、その報道姿勢は一定の評価を得ている。

しんぶん赤旗には、他の新聞にはない独自ルールも存在する。例えば野球の「満塁ホームラン」を一般紙は「満塁弾」と表現するが、赤旗ではこの表現を使わない。理由は「弾」という字が砲弾を連想させ、戦争を想起させるからだという。

また、しんぶん赤旗は原則として書籍以外の企業広告を掲載しない。企業の影響力によって報道が左右されることを避けるためだという。この姿勢は新聞としての矜持を示すものだが、財政面では厳しい状況を生み出している。

スクープが出ることが読者数増加に「直結しない」という厳しい現状もある。1980年には約355万人いた読者数は現在約85万人まで減少。ピーク時の4分の1だ。共産党は現在「危機に直面している」ということで、しんぶん赤旗発行のために10億円の寄付を募っており、5月時点で5億円以上が集まったという。しかし、これは“応急措置”にすぎず、根本的な問題解決には繋がっていない。共産党は政党交付金を受け取っておらず、党収入の大部分を赤旗からの収入に依存しているため、読者数の減少は党の存続にも関わる「死活問題」となっている。