中華料理には欠かせない存在で、ドン・キホーテでは”キクラゲだけの中華丼”が登場するほどの人気食材。その「キクラゲ」の栽培に参入する企業が増えているワケとは?

印刷工場で「週の半分は収穫」

埼玉・川口市にある『毎日新聞首都圏センター川口工場』。
新聞印刷専門の会社で、1時間に最大16万部刷り上げる機械を使い主に県内で読まれる新聞を印刷しています。

高速で流れる新聞の横を進み、広い工場内の一角にあるのが厳重な扉と壁で囲まれた小部屋。全身を覆う専用の服を着て中に入ると…

THE TIME,マーケティング部 山根千佳部員:
「おおおお、なんだかすごいです。圧迫感があります」

書庫のようなラックにびっしりと並んだ黒い物体は、すべてキクラゲ。
2月から栽培を始め現在1500株以上を育てているといいますが、なぜ印刷工場でキクラゲ栽培を?

多久幸男・印刷副部⻑:
「いま新聞のデジタル化とか印刷部数も減っている。他に“経営の柱”になるものを決めようとなり、キクラゲを提案した」

実は国内で流通しているキクラゲの約90%は中国産で、国産はわずか10%ほど。(※令和5年農水省調査より)
ライバルの少ない「国産キクラゲ」に商機を見い出したのです。

山根部員:
「ぷりっぷりで美味しいです。肉厚な、新鮮な噛みごたえ」

ぷりっぷり食感の秘密はその厚さ。中国産の乾燥キクラゲを水で戻したものと比較すると、肉厚は4倍ほどあります。

しかし、そんなに簡単に育つのでしょうか?

多久印刷副部⻑:
「元々キクラゲ栽培の知識は全くなく、初めは休憩室に小型のビニールハウスを建てて、みんなで水やりしながら育てた」

実は、キクラゲは管理がしやすく、水やりなどを自動化することもできるため“農業未経験でも栽培しやすい”のです。
今では週の半分は“キクラゲ収穫”にあたる印刷作業員もいるほどで、狙うは「年商1000万円以上」だといいます。