午前3時、届いたSOS

ゆまさんのSOSの投稿は、佐賀県鳥栖市に住む女性、おかかさん(仮名・46)に届いていた。

5日未明、おかかさんは布団の中で目が覚めた。

「ニャア、ニャア…」ハチが鳴いているのが聞こえる。もともとは赤ちゃんの野良ネコで、2022年にカラスに襲われていたところを夫が助けて連れ帰ってきた。

保護されたばかりのハチ(2022年 おかかさんのSNSより)

ハチは先天的に脳に障害があり、後ろ足も不自由だった。保護したとき「立てない」「長くは生きられない」と言われたが、まもなく3歳になる。

障害の影響で、鳴きながら歩き続けることがあるが、誰かがついてあげると鳴き止む。おかかさんは、ハチのそばに行ってあげようと布団から出た。

3歳になったハチ 後ろ足は不自由だが自力で歩けるようになった頑張り屋(おかかさん提供)

時間を確認しようとスマホを手にとると午前3時。画面には寝る前に開いていたSNSが表示されていた。その時、面識がないゆまさんの「SOS」が偶然目に飛びこんできた。

「ああ、これはお母さん可哀そうだな…」と思って読み進めると、ゆまさんの投稿には、「大事な日にダメな親」「大学生にもなって親が入学式に行くのは過保護」「注意不足で人に頼るな」などの返信も書き込まれていて、「最初はすごく叩かれていた」という。

「誰でも忘れ物はするし、困っているのに叩かれてツライだろうし、持っていてあげよう。それだけの気持ちですよ」(おかかさん)

そう思ってゆまさんの投稿に宛ててこう書き込んだ。「鳥栖からです!息子のスーツありますよ!無理そうならもっていくよ」


寝ようにも寝られなかったゆまさん。SNSを開いて、おかかさんの投稿に気がついた。ほかにも「持っていきましょうか」という申し出はあったが、「この人なら頼めるかも」と思った。「ビビビと来た」と、その時のことを振り返る。

ゆまさんはおかかさんに向けて書き込んだ。

「息子が170cm60キロです。もしサイズが合いそうで貸して頂けるなら、朝早くにタクシーで伺っても大丈夫でしょうか」