「ねえ、私ちょっと久留米までスーツ持っていくから」
おかかさんが起きたのは午前6時。すぐにゆまさんの書き込みに気がついた。
「息子、173センチ65キロぐらいです。久留米なら今から持っていきますよ。」泊まっている場所の住所を教えてくれるように返信し、寝ている夫を起こした。
「ねえ、私、ちょっと久留米にスーツ持っていくから」。
突然起こされた夫は、意味がわからない様子だったが、事情を話すと「それは困ってるな。よかよか、俺が運転する」とドライバー役を買って出てくれた。
夫(57)は、建設業の一人親方だ。一見強面でどこに行っても「口が悪い」と言わるが、ネコには優しい。捨てられたりケガをしたりした子を拾ってくるので、だんだんと増えて飼いネコは5匹になった。そして、ネコだけでなく困っている人にも優しいのだ。
おかかさんは、大学3年の息子が持っている全2着、黒と紺のスーツと、ネクタイ4~5本、「あるだけ全部」を用意して、念のためベルトと靴もそろえた。
「出発の準備はできた!メールください」