陸続きになっても過疎が止まらない「瀬居島」に現代アートがやってきた!

そして、世界は「セトウチ」を知りました。今年は過去最大の17エリア。現代アートは地域をどう変えるのか。

春会期のみの瀬戸大橋エリアで新たに加わった瀬居島です。大規模な埋め立てで陸続きになっても過疎の波は止まらず、近年は廃校が相次ぎました。そこに現代アートがやって来ました。

(アーティスト 小瀬村真美さん)
「誰かがここにモノを置いたでいなくなった私がそれをほんの少しだけ動かした新しい時間を少しだけ動かす感覚。単なる懐古の感覚ではなくて面白いものとして新たに見直す」

瀬居島の至る所に16人がアートを展開します。制作する場所と作品を強く結びつける手法はサイトスペシフィックアートとも呼ばれています。

(アーティスト山本晶さん)
「(陸続きになった歴史は)いいも悪いもなくて。もう瀬居島は島じゃないけど島なんだよって言われたときに、すごく面白い話だなって思いました」

感じ方はそれぞれ。そして、アートをきっかけに歴史や文化と出会い鑑賞者の心は動き出します。

「ここが本来どういう場所でいまこういう作品をやっている関連性」「芸術祭があると全然見え方が変わってくる。作品があると、全然景色が変わってくる。それが楽しみです」

やがて、地域に生まれるもてなしの輪。

「ようこそ瀬居島へごゆっくりご覧ください」

そして気付き。

「坂出市でも特徴があるところではないと思っていたんですが、これだけの人に来てもらって瀬居島のいいところをみんなに感じて帰ってもらえたらうれしい」

人口減少が続く島「芸術祭は観光コンテンツではない」

アートをきっかけに地域の魅力が再認識されます。しかし、島々がこの国の直面する問題の最前線であることに変わりはありません。

(香川県瀬戸内国際芸術祭推進課 増田敬一課長)
「例外なく島においてもやはり人口は減っていて、そのこと自体が島のインフラの弱体化などを今後引き起こしていく」

本格的な人口減少期が迫るなか島々と人々をつなぐことができるのか。アートによる地域づくりの真価が試されるのはこれからです。

(香川県瀬戸内国際芸術祭推進課 増田敬一課長)
「芸術祭は観光コンテンツではない。単に楽しければいいということではない。内容、質にはこだわっていく必要がある」