「ありえないですよね」“文書が存在しない”ことに原告の教授は
任命拒否された学者6人は国と争っている。5月16日までに6回、法廷が開かれた。

東京慈恵会医科大学(憲法学) 小澤隆一 名誉教授
「任命拒否の問題で、ずっと理由を示せと、根拠を示せと言ってきているが、意味のある理由が示されていない」
2021年、任命拒否の理由を示した文書の開示を請求。だが、政府は「文書は存在しない」などとして開示しないことを決定したため、2024年2月、6人の学者らは不開示決定の取消などを求めて国を提訴した。
原告となった早稲田大学の岡田正則教授と、東京慈恵会医科大学の小澤隆一名誉教授に話を聞いた。

東京慈恵会医科大学(憲法学) 小澤隆一 名誉教授
「(任命拒否という)異例のことをやったわけですから、何かやっぱり特別な理由と根拠があって、また、そのための準備もして、でないと、そもそも(任命拒否を)やる理由がないと思う。しかし、そのための文書が不存在だということは、裁判をやっていますけれども、ありえない」
――ありえないですか、文書が存在しないということは。
東京慈恵会医科大学(憲法学) 小澤隆一 名誉教授
「ありえないですよね」

早稲田大学(行政法) 岡田正則 教授
「日本には公文書管理法という法律があって、総理大臣でも官房副長官でも、重要な決定をした時は、必ず文書を作成しなきゃいけない。その判断に当たって使った文書は、きちんと残さなきゃいけない。こういう義務が課せられている。ところが、菅総理大臣(当時)も 杉田官房副長官(当時)も、全く自分の判断や決定について文書を残していない。理由も説明していない」
一方、一部だが開示が認められた文書がある。

安倍政権時代の2020年6月12日。学術会議が総会で、会員候補の推薦を決めた約1か月前、6人の名前の上に大きくバツ印が書かれていた。
――先生を含め6人の方に大きくバツと。こういった資料もあるわけですけども。
東京慈恵会医科大学(憲法学) 小澤隆一 名誉教授
「結局、学術会議が決める前の段階で、私達6人をピックアップして、もうバツというのは ダメという意味なのでしょうね。そういうことを決めていたのは、本当に由々しきこと」

早稲田大学(行政法) 岡田正則 教授
「学術会議が法律上で、きちんとした判断を任されているのに、それが判断する前の段階で介入しようとしたという点は、法律上の手続きからいっても、違法な介入と言わざるを得ない。日本の民主主義にとっても、非常に重大な問題がここに表れている」
5月16日、任命拒否の理由を改めて政府に問うと、これまでの答弁を繰り返した。
林芳正官房長官
「任命権者である当時の内閣総理大臣が、総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から、判断を行ったものであると承知をしております」
裁判については、「係争中のことでもあり、コメントは差し控えたい」とした。














