搭乗していたのはベテランと中堅パイロット
事故機の前席には網谷奨太2等空尉、後席には井岡拓路1等空尉が搭乗していました。井岡1等空尉は飛行時間約1170時間のベテランパイロットであり、網谷2等空尉の飛行時間は約480時間で、初級と中堅の中間レベルと見られています。

航空自衛隊の階級は全16階級で構成されており、1等空尉と2等空尉はいずれも幹部に属する階級です。このことから、搭乗していた2名の自衛官は、相応の経験を持つパイロットであったことがわかります。

今回の事故原因について、現時点で考えられる要因を目撃証言と合わせて分析します。元航空自衛隊トップの河野克俊氏は、「機体を方向転換させて池に落としたように見えた」という目撃証言に対し、「事故を起こさないことが最優先ではあるが、有事の際には市街地を避けて墜落させる判断もあり得る。今回のケースでもその可能性は否定できない」と指摘しました。

一方、「くるくる回りながら機首から突っ込んだ」という別の目撃証言については、「機体を制御できないほどの緊急事態に陥り、入鹿池を選択する余裕もなかった可能性も考えられる」と述べています。この点については、専門家の間でも意見が分かれています。
実際にこのあたりを飛行している、飛行時間8000時間のベテランパイロットの方に聞くと、入鹿池は離れてみるととても小さいが、近くでみると大きい。あえてここを選択した可能性もあると話していました。
今回の事故機にはフライトレコーダーが搭載されていなかったため、事故原因の特定は非常に困難になるということです。
