「選択的夫婦別姓」結論は急がなくて良い?
後半国会最大の焦点は「選択的夫婦別姓」導入をめぐる議論になるはずだったが、“トランプ関税”対策や経済・物価高対策に関心が高まり、機運はややしぼみつつある。
立憲民主党は4月末に制度導入にむけた法案を提出したが、維新などは夫婦同姓を維持した上で旧姓の使用に法的効力を与える案を主張している。国民民主の玉木代表も当初は導入に賛成だったが、支持層が拡大したことでトーンが変わりつつある。古川代表代行は5月7日の会見で保守層を意識し「家族のあり方とか懸念を持たれる方も含めて安心できるような制度設計を目指していく」と話した。近く独自の法案を提出予定だという。
一方の自民党は、選択的夫婦別姓導入には保守派を中心に依然反対論が根強く、党内での議論は停滞している。自民党幹部は「うちはもうやらない」と明言しているほどだ。いまの国会での成立が見通せない中、なんらかの結論は出すべきなのか。


世論調査では「いまの国会で結論を出す必要はない」が54%をしめた。さらに参院選で重視する政策を聞いたところ、物価高対策、少子化対策、景気対策が上位にランキングされる中、「選択的夫婦別姓制度」は9つの全選択肢の中で最下位だった。
ただ、このテーマは世代間や男女間で大きく差が出る。例えば40代男性は“急ぐ必要はない”と思っている人が7割を超えるが、30代未満の女性は7割近くが“急ぐべき”と答えている。
今後各党から独自の法案が提出されるが、いまの国会で導入に向けた議論が熱を帯びるかはまだ見通せていない。

【5月JNN世論調査の結果概要】
●石破内閣の支持率は33.3%(先月調査より2.7ポイント上昇)。不支持率は62.1%(先月調査より4.0ポイント下落)
●政党支持率は、自民党23.5%(先月よりポイント0.4下落)、立憲民主党5.6%(先月よりポイント2.8下落)、日本維新の会4.3%(先月より1.4ポイント上昇)、国民民主党10.2%(先月より0.5ポイント下落)。
●物価高対策としての消費税の扱いについて「税率を維持」が19%、「食料品の税率下げるべき」が35%、「一律で税率を下げるべき」が27%、「消費税は廃止すべき」が16%
●消費税を下げた場合、社会保障の質が低下することへの不安は「大いに感じる」が17%、「ある程度感じる」が38%、「あまり感じない」が28%、「全く感じない」が15%
●アメリカ・トランプ政権の関税措置について日本政府の交渉に「期待する」が44%、「期待しない」が50%
●選択的夫婦別姓制度について、「いまの国会で結論を出すべき」は35%、「今の国会で結論を出す必要はない」は54%
●夏の参議院選挙で望ましい結果は参議院全体で「自民と公明の議席が過半数を占める」で39%、「いまの野党が過半数を占める」が49%
●今、参院選挙で投票する場合比例代表でどの政党かどの候補者に投票するかについて
自民党 26%
立憲民主党 11%
日本維新の会 9%
公明党 6%
国民民主党 15%
共産党 3%
れいわ新選組 7%
参政党 2%
社民党 1%
日本保守党 1%
それ以外の政党 4%
●参院選で最も重視する政策は多かった回答順に
1位「減税などの物価高対策」28%
2位「少子化対策や子育て支援」17%
3位「景気対策」16%
4位「社会保障対策」10%
5位「政治とカネ」の問題など政治改革 9%
6位「外交・安全保障」4%
7位「地域の活性化対策」4%
8位「憲法改正」1%
9位「選択的夫婦別姓」1%
「それ以外」5%
【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD 方式」を採用しています。5月3日(土)、4日(日)に全国18歳以上の男女2737人〔固定750人、携帯1987人〕に調査を行い、そのうち37.5%にあたる1026人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話421人、携帯605人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査へのご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願いします。
TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作