一人一人違う人生 共通点は「学びたい」思い
夜間中学の授業は、午後5時半から午後9時まで。3年かけて、国語や数学など9教科を学び、中学校の卒業資格の取得を目指します。この日は、倫夫さんが一番楽しみにしているという、国語の授業からスタートです。
(教員)
「この作品の中に出てくる人、全員出してください」
(クラスメイト)
「全部書いて」
(横井倫夫さん)
「『れん』…」
(クラスメイト)
「『レン』。カタカナや。それで、あと、美術の先生」
(横井倫夫さん)
「びじゅつ…。びじゅつのせんせい…字が分からん」
(クラスメイト)
「『美しい』」

クラスメイトに手伝ってもらいながら、必死に鉛筆を走らせる倫夫さんの姿がありました。
(生徒・72)
「僕は中学校に行ってないから。いろんな生活状況の人が集まっている。ここではここの、会話ができる場所」
(生徒・10代)
「中学校生活で学校に行けないことが多かったので学び直そうかなと。楽しく行かせていただいています」
(生徒・81)
「ちょっとちんぷんかんぷん、分からないところがあるんだけど、楽しい」
入学を決めた理由も歩んできた人生も一人一人違いますが、「学びたい」という気持ちはみんな同じです。倫夫さんはツユ子さんと二人三脚で、楽しんで通っているといいます。
(横井倫夫さん)
「お父さん、きょうはどうもなかったん?何を教わった?言うてね。きょうは英語と数学をやっとったよ言うて。帰ってくるまで寝れんってな、お父さんの顔を見るまで寝れんわって言われる」

やりたい事は全部やる。どんな時も背中を押してくれる妻、ツユ子さんと支え合って。倫夫さんはきょうも学校に出掛けます。
(横井倫夫さん)
「ほな、ちょっと行ってこようか」
(横井ツユ子さん)
「行ってらっしゃい」

(スタジオ)
ー今年4月時点で、全国32の都道府県に62校の公立夜間中学が設置されています。また設置を検討している自治体も増えています。岡山後楽館中学校では、年度途中の入学も受け付けているということです。