先月(4月)、岡山県内で初めての公立の夜間中学が岡山市北区に開校しました。通うのは、年齢の様々な12人で、最年長の男性は88歳です。「もう一度学びたい」…入学を決意した男性の思いとは…密着しました。
新入生は88歳「これからは学校へ来るだけが人生」
(岡山後楽館中学校 田中光彦校長)
「誰もが何度でも挑戦できるよう、仲間や教職員と認め合い支え合う学校となるよう、岡山後楽館中学校夜間学級での学びを私たちとともに作り上げていきましょう」

先月、岡山後楽館中学校に開校した、夜間中学です。様々な事情で義務教育を十分に受けられなかった人の「学び直しの場」になればと岡山市が開設したもので、初年度となる今年は10代から80代までの12人が入学しました。
(横井倫夫さん)
「こんなん読めるかな」
(教員)
「字小さいじゃろ。こんなに小さいのがあるからな」
(横井倫夫さん)
「老眼鏡持ってこないと見えないな」

真新しい教科書に見入るのは、最年長の新入生、横井倫夫さん。88歳です。
(横井倫夫さん)
「楽しみ。もうこれからは学校へ来るだけが人生。僕の人生や」
(横井ツユ子さん)
「お父さん、換気扇回したら?」
(横井倫夫さん)
「換気扇回したら音が出るじゃろ」
(横井倫夫さん)
「料理はもう、いつもやな。お菓子もな。毎日作っとる」
倫夫さんは、妻・ツユ子さんと2人暮らし。去年、脳梗塞で倒れ手足が思うように動かせなくなったツユ子さんに代わって、家事のほとんどを一人でこなしています。

(横井倫夫さん)
「何十年一緒やでな、60何年。まだ17歳の時か」
(横井ツユ子さん)
「そんなことない、18か19」
(横井倫夫さん)
「岐阜で会うた」
1937年、岐阜県で生まれた倫夫さん。8歳のときに終戦を迎えました。中学校を卒業したのち、出稼ぎのため上京。二十歳になるまで、板前修行に汗をかいたといいます。
(横井ツユ子さん)
「美味しいものを作ったらお皿に盛って料理を持ってきてくれようた」
(横井倫夫さん)
「寿司をようけ運んだな」
(横井ツユ子さん)
「だまされたな、料理に」
