“トランプ関税”をめぐって、赤沢大臣が再び訪米し、2回目の閣僚協議に臨む。日替わりのようなトランプ大統領の発言に日本はどう対応すれば良いのか、財務省出身で内閣官房副長官や外務副大臣も務めた自民党 木原誠二選挙対策委員長に聞きました。(聞き手:川戸恵子 収録:4月24日)

トランプ大統領の関税の目的は、いま世界が抱える問題

――1回目の関税交渉を経て、トランプ大統領の関心は「対日貿易赤字」「アメリカ産自動車の日本への輸入ゼロ」「在日米軍駐留費問題」と言われていますが。

木原誠二 自民党 選挙対策委員長:
一番メインは貿易赤字の解消ということだろうと思います。
アメリカからすると世界中に貿易赤字を抱えていて、これを少しでも解消したいという思いはわからないでもないという風に思います。日本にとって幸いなのは、かつて日米貿易戦争のときは貿易赤字の半分以上が日本だったわけですけど、今はもう数%の世界ですから、対応は十分できるだろうなというふうに思います。
おそらくトランプさんの目的は、「アメリカが製造拠点としてもう一度復活をする」「産業を復活させる」ということだと思うんですね。もう一度国内の供給力を上げていこうということだと思います。実は日本もずっとそういう目的でやっているわけです。岸田政権も石破政権も。なので、これは世界中が抱えている問題で、全部中国に生産拠点と供給力を持たれたら、首根っこ掴まれてしまうんですね。

――それを途中で日本もわかってやっぱり工場を中国から他に移すことっていうのも現実で起きていますよね。

木原誠二 自民党 選対委員長:
国内の投資も熊本のTSMC(台湾積体電路製造)もそうだし、北海道のラピダスもそうです。なのでトランプさんのやってらっしゃることは一定程度、理解はできると思います。

ただ、壁を高く作って成功した事例は、世界中で一度もないんですよ。歴史上。あるいは壁を高く作って産業が強くなった例もないので間違いなく、これはうまくいかないと。

とりわけインフレの時代ですからね。アメリカ国民はインフレへの感応度がずいぶん高くなってきているので、国民の支持もなかなか得られなくなる。おそらくですけど、トランプさんは、来年以降大型の減税をやってくるんだと思います。関税で税収を上げながら減税の財源にしていくというのは、一つの大きなストラテジー(戦略)でしょうから、そういう意味で言うと破綻しちゃったらアウトなのでコントロールをしながらマーケットを見ながら、それから世論をみながら調整しながらやってらっしゃる。

――日本はどう対応していけばいいのか。

木原誠二 自民党 選対委員長:
やっぱり同盟国でもあるし、一つの国としては世界第4位とはいえ、やっぱりアメリカとの間でかなりの開きがある。そういう意味で言うと、米中のように、角突き合わせて喧嘩しあって、勝機があるかというとやっぱりないと言わざるを得ないと思うので、結局それは日本の国民に負担を負わせるということになると思いますから、今のようにネゴシエーションにもまだ至ってないけど協議をしながら最終的な妥結点を探ると。その動きの中では幸いなことに、今一番手にいますからこれをしっかりやっていきたいと思います。