斎藤幸平さん「“属国精神”丸出しで国益は守れるの?」

藤森キャスター:
これまでの動きを見てみますと、日本はトランプ大統領にとって与しやすい相手で、かなりうまくやりこめられてしまうのではないかなという見方がありますけど、いかがですか。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
やりやすいどころか、これだとトランプ大統領にとってはカモネギ状態です。安倍元総理のときから、そういう扱いをしているような節があるわけですけれども、そういう状態の中で、今回、赤沢大臣が自らを「格下」と言ってしまったら、“属国精神”丸出しで、本当に国益を守れるのかと少し心配になりました。

小川キャスター:
格下と自らを卑下するような言葉には批判の声もあります。赤沢大臣は会談前から「大丈夫か」という声がありましたが、どう見ていましたか。

株式会社Quizknock CEO 伊沢拓司さん:
トランプ大統領が突然、どのような経緯で出てきたのかわからないのですが、日本が大臣を出した上で、アメリカからは急遽、大統領が出てくる。しかも、開催場所はアメリカです。

日本は、緊急対応できない状況に追い込まれたのはしんどかったでしょう。また、なぜそうなったのかを日本は考えたと思うので、赤沢大臣の心境を慮ってしまいます。

僕は、「格下」とは自分について言っているのかなという印象を受けました。自身の立場を考えると、大統領よりは格下なわけですから、大統領が出てきているのに、外交のマナーとしては1回、触れておくべきだなと思ったのでしょう。

器の大きさについての発言はちょっとわからないですけれども、後から「我々(アメリカ)は大統領が出てきたのに、日本は(総理を出さないのは)失礼だ」と言われるリスクも考えたとは思います。

少なくとも今回のケースに関しては、これを1つ取って、「少しへりくだりすぎでは」というのは、なかなか難しいのでは。むしろ、アメリカ側の戦略に乗らなかったという考え方もできるのかなと個人的には思いました。

藤森キャスター:
関税交渉は始まったばかり。大事なのはこれからなので、今回のことだけで結論付けは難しいですよね。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
もし次回、石破総理が行くのであれば、対等なパートナーなので、ウクライナのゼレンスキー大統領のように、圧に負けない断固とした姿勢を示して欲しいです。

ウクライナの情勢を見ればわかりますが、屈しなくとも、トランプ大統領は好き勝手にはできないです。そういう流れの中で心配しているのは、駐留米軍費用の関係の問題であるとか、特に貿易赤字を解消するための防衛費。アメリカから武器をもっと買うとか、そういうわけのわからないことにならないように注意したいと思います。

小川キャスター:
今後、各国の交渉も行われます。その進捗を見つつというところで、次回の交渉は4月中に行うべく調整中だということです。

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<プロフィール>
斎藤幸平 さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』

伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中